「血縁者」との結婚が産業革命後に減った理由 世界最大級の家系図で明らかになったこと

産業革命前のアメリカやカナダ、ヨーロッパでは、血縁者(といっても、またいとこのまたいとこくらい遠縁だが)と結婚する人が少なくなかった。当時は、遠くまで結婚相手を探しに行くような習慣はなかったし、物理的にも不可能だったのだ。
血縁者間の結婚が減ったのは、1825~1875年に交通機関としての鉄道が開業して、遠距離移動が簡単になってから、というのが一般的な理解となっている。だが、実際に血縁者の結婚が減ったのは1875年以降で、むしろ1825~1875年は血縁者の結婚が増えたことが今回わかった。
500万個の家系図を作成
これは3月1日にサイエンス誌(オンライン版)に発表された、世界最大の家系図で明らかになったことの1つ。50年間のタイムラグは、当初は遠距離移動が簡単になったことよりも、社会的規範のほうが結婚に与える影響は大きかったためとみられている。
この研究は、非営利研究機関ニューヨーク・ゲノムセンター(NYGC)やイスラエル工科大学、ハーバード大学公衆衛生大学院、コロンビア大学などの研究者14人が共同で行ったもの。
研究チームは、家系でつながるSNS、Geni.com(ジェニ・ドットコム)に登録されている8600万人のプロフィールを利用して、500万個の家系図を作成した。このうち一番大きいものには、11世代、1300万人が含まれるという。さらに研究者たちはこのデータを使って、遺伝学上・歴史学上の仮説を検証した。