駅のホームと車内を「酒場」にした京阪の思惑 中之島線の知名度向上と利用増につながる?

拡大
縮小
京阪中之島線の中之島駅で開かれている「ホーム酒場」。駅ホームと電車内が酒場に変身した

ビジネス街の地下駅が「酒場」に変身――。大阪市の中心部、中之島(同市北区)に位置する京阪電鉄中之島線の終点、中之島駅で6月22日夕方から、ホームと電車内でお酒やおでん、ラーメンなどが楽しめる「中之島駅ホーム酒場」が4日間の日程でスタートした。

期間限定の「酒場」となった同駅の3番線ホームは、6月の雨が降りしきる人影まばらな夜のビル街とは対照的に、仕事帰りの人々や沿線外からわざわざ訪れた人々で大賑わいに。日ごろ見慣れた通勤電車の車内にはカウンターやテーブルはもちろんのこと、座敷とちゃぶ台まで設けられ、駅のホームはさながらお祭りのような空間に変身した。

通勤電車の中でちょっと一杯

電車内や駅ホームという日常的な場所でお酒を楽しむという「非日常」の体験が人々の心を開放的にさせるのか、車内では見知らぬ人同士の会話も弾む。「妻の誕生日の記念に」と、阪神電鉄の沿線から夫婦で来たという70代の男性は「電車の中で話をするような感じで、若い人とも話が盛り上がって楽しいな」と、4杯目の生ビールを片手に上機嫌。ちゃぶ台で食事を楽しんでいた家族連れも「電車の中のお座敷なんて楽しい」と笑顔だ。

同社ではこれまでも、走る電車内で日本酒を楽しむ「日本酒電車」などのイベントを実施してきた。だが、事前予約制のイベント列車ではなく、駅のホームと停車している電車を会場に、当日ふらりと立ち寄ってお酒を楽しめる企画は今回が初めて。「普通の飲み屋さんのように、好きな時間に来ることができるイベントにしたかった」と、企画を担当した京阪ホールディングス経営統括室・事業推進担当課長の吉城寿栄さんはいう。

次ページ車内に現れた「昭和レトロ」空間
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT