デキない人は「住む場所」へのこだわりがない それは収入や仕事の結果とも直結する

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中川淳一郎氏(左)と速水健朗氏(右)の対談、前編です
大都市にしろ、地方にしろ、持ち家にしろ、賃貸にしろ、人は誰しも何らかの住まいを構えて生活し、仕事を持っている多くの人が自宅から職場に通っている。その住む場所とは、仕事や人生にどのような影響を与えるものだろうか? 『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』(朝日新書)の著者、速水健朗氏と『節約する人に貧しい人はいない。』(幻冬舎)の著者、中川淳一郎氏が住む場所と仕事、収入の関係を語り合う。

住む場所にコストをかける理由

速水 健朗(以下、速水):なんだこれ。ただの変態による個人的な趣味嗜好のハナシかよ……そう思ったんですよ。

中川 淳一郎(以下、中川):えっ?

速水:中川さんの『節約する人に貧しい人はいない。』を読んで、最初はそう感じたんです。だって、可処分所得は高いのに「服にまったく頓着しない」「時計や靴にカネをかけるのはバカ」「東京で暮らすならクルマを持つなんて無意味」といった調子で、いかにおカネをかけないで暮らすかを説いている。“家賃は収入の30%が目安”みたいな言説に踊らされるな、とかね。カネを持っても金銭感覚や暮らしぶりは貧しかったころのまま一定に保って、節約を旨とすべし。そのほうが何事もラクチンだよ、と。

中川:そうですね。

速水:一読したとき、「そんな超人思想、なかなか真似できないよなぁ」と思った。ただ、読み終えて反すうしてみると、次第にジワジワきて。で、読み返してみて確信しました。中川さんの『節約する人~』は、“節約”の本じゃないですよね。むしろ、どこに住むのかについてはすごくコストを払っている。中川さんはおカネがない時期でも、一貫して渋谷エリアに留まり続けているわけで。

中川:ええ、確かに。社会人になったころから渋谷界隈で暮らしてきたから、単純に馴染んでいるというのもありますけどね。ただ、速水さんが指摘するとおり、もう何年もオレの主要な取引先のひとつとなっているサイバーエージェントが渋谷にあって、会議や打ち合わせなどに急に呼び出されても「はいは~い、いま出ますから~」なんて調子で、すぐに出向くことができる。そういうのって大事だなと。とりわけフリーランスは、使い勝手のよさを取引先に感じてもらえるかどうかが勝負なところもあるし。

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