【産業天気図・鉄鋼】足元は実需減・在庫調整・買い控えの三重苦。09年度後半も需要回復は鈍く、長雨続く

予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

目下のところ、鉄鋼業界は一寸先も見通せない「豪雨」に襲われている。こうした状況は、少なくとも2009年央までは継続。09年度後半に自動車などの需要業界が前月比での増産に転じたとしても実需の急激な回復は望みにくく、雨足こそ若干は弱まるものの「秋の長雨」が続くと見ている。

自動車や電機といった主仕向け先の需要急減を受け、足元の鉄鋼業界は尋常ならぬ減産に追い込まれている。国内最大手の新日本製鉄<5401>は、改修を控えていた大分製鉄所の第1高炉を1カ月前倒しで休止させたほか、君津製鉄所の第2高炉で46年ぶりのバンキング(高炉への送風を停止することで、再稼働可能な状態のまま休止する方法)を実施。2番手のJFEスチール(JFEホールディングス<5411>傘下)も、倉敷第3、福山第3と相次いで高炉の一時休止に踏み切っている。

上記2社に比べて規模の劣る住友金属工業<5405>と神戸製鋼所<5406>の両社は、高炉の数が限られるために休止こそ実施しないものの、ともに従来は60万トンとしてきた今下期の減産幅を100万トンまで拡大させている。その結果、前回(08年12月)の産業天気図では大手4社合計で470万トン強としていた減産幅は、足元では1020万トンに膨らむ格好となっている。

こうした個社ごとの状況を反映して、経済産業省も08年12月に一度はとりまとめた今第4四半期の国内粗鋼生産量見通しを、09年1月末に1926万トン(従来比8.7%減)へと下方修正した。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日鉄社長)は「実需減、(客先の)在庫調整、(先安感による)買い控えの三重苦に見舞われている1~3月が一番の底」と見ているが、4月以降に各業界の在庫調整が収まったとしても「実需が悪いこともあり、戻りは弱い」(同)との認識も示している。

経産省の需要見通しは、通年に置き換えれば8000万トンを割り込む計算。過去最高を記録した07年度(1億2151万トン)との比較では、36.6%の大幅な減退となる異常事態だ。足元の大減産が客先の急激な在庫圧縮も含んだものであるという前提に立てば、09年度の国内粗鋼生産が8000万トンまで落ち込むとは考えにくい。ただ一方で、「1億2000万トンは望むべくもない」(宗岡会長)のも事実。装置産業であるが故に、何よりも操業度が物を言う鉄鋼業界。需給逼迫が続いたここ数年は原料や製品の価格動向が業績を左右してきたが、09年度は生産水準がどこまで高まるかによって「雨」の降り方は変わってきそうだ。

(猪澤 顕明)

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