スマートグリッドで協力、東芝が仏アルストムと組む理由

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スマートグリッドで協力、東芝が仏アルストムと組む理由

電力の需給をリアルタイムに制御して最適化する電力網、スマートグリッド。太陽光をはじめ出力変動にブレのある再生可能エネルギーの導入を促す仕組みだ。通信機能を持たせるなどして高度化のために、多様な機器やシステムを組み合わせる必要があるため、複数の企業が協力関係を構築しながらプロジェクトを進めるのが一般的になっている。

東芝のその1社だ。東芝は9月3日、スマートグリッド事業の拡大に向けて、フランスのアルストムグリッド社との協業を検討していくと発表した。両社は今後、相互補完関係を築きつつスマートグリッド関連の受注を開拓していくほか、機器の共同開発の可能性も探っていく。

アルストムグリッドは世界的な重電企業アルストムグループの送電部門。電力供給を制御する上流のシステムに強く、欧州や北米を中心にグローバルに事業展開している。東芝が持つスマートメーターや蓄電池などのコンポーネントと組み合わせることで、技術的に補完関係が築けるという。

東芝も電力系統を制御する上流のシステムを手掛けているが、国内での展開が中心。今後、グローバルに送変電事業を拡大していく上で、アルストムグリッドとの協業がプラスになると判断した。

スマートグリッド事業を成長分野の一つに位置づける東芝は、同分野で2015年に9000億円の売上高を上げることを目標にしている。昨2011年には約1900億円を投じてスマートメーター世界大手のランディス・ギア社(スイス)を官民ファンドの産業革新機構と共同買収。イタリアの送変電会社アンサルドT&D社も傘下に納めている。2013年10月には同事業のグローバル展開加速に向けて、川崎市に中核拠点を設立する予定で、今回の協業もこうした取り組みの一貫といえる。

(長谷川 高宏 =東洋経済オンライン)

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