夫の死後、「姻族関係終了届」を出す利点とは 扶養関係は終了、相続はどうなる?

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「姻族関係終了届」を出すことによって、配偶者の父母らと、届を出した人との姻族関係はなくなります。

生きている配偶者が市町村役場に届け出ればいいだけなので、義父母が拒否しても手続きできますし、義父母に黙って届け出ても構いません。家庭裁判所への申立も不要です。姻族関係を終了させれば、扶養義務を負うこともなくなります。

届けを出すメリット・デメリットは?

なお、姻族関係の終了と相続とは関係ありません。

届出をした人の子どもは、亡くなった配偶者の親(子どもにとっては祖父母)と血縁関係にありますから、姻族関係を終了させても、子どもには、祖父母の遺産を相続する権利があります。

届を出すことのメリットは、義父母の扶養義務を負うことがなくなることですね。デメリットはその逆で、自らが扶養してもらえる人の範囲が狭まることですが、あまり深く考える必要はないでしょう。

ちなみに、配偶者が亡くなって再婚をする場合、「姻族関係終了届」を出していないと、亡き配偶者の親と、再婚相手の親との二重の姻族関係が発生することになります。

(弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに弁護士ドットコムライフ編集部が作成しました)

浮田 美穂(うきた みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年、度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所

 

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