製鉄所発電の実力、電力不足が追い風に

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今夏、電力不足が危ぶまれる中、鉄鋼メーカーの発電所に再び注目が集まっている。

6月下旬、新日本製鉄の君津製鉄所内の火力発電所で新たに6号機が稼働する。すでに稼働中の3基と合わせた発電総量は115万キロワットと原発1基分に上る。同発電所は東京電力と折半で設立した共同火力で、発電した半分ずつをそれぞれが使う。

製鉄所では操業過程で大量の副生ガスが発生する。これを有効利用するため発電所を建設、工場で必要となる電力の一部を賄っている。君津や住友金属の鹿島など国内の大規模製鉄所では地元電力会社と折半で共同火力を運営してきた。

また、1995年の電気事業法改正後は、火力発電を利用した独立系発電事業(IPP)にも参入。各社がこぞってIPP用の発電所を設立し、電力会社に売電している(下表)。

こうした鉄鋼メーカーの“発電能力”が脚光を浴びたのは、福島第一原発事故後だ。電力会社からの電力供給要請を受け、共同火力を中心にフル稼働に入ったのである。従来、電力会社は原子力に比べ火力の発電コストは高いとして、共同火力やIPPの利用には消極的だった。が、全原発停止の状況下、電力会社の共同火力への抵抗感は薄まった。原発の停止状態が続くようなら、IPPのニーズが高まる可能性もある。

 

 

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