イーベイCEO「日本市場の伸びしろは大きい」 米EC大手は、日本をどう攻略するのか

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イーベイのECサイト。現在、改良を急ピッチで進めている

――日本での事業規模は拡大しているのか。

出品している事業者数などは公表していないが、流通総額は年間20%増と高い伸び率だ。私は2011年にイーベイに入社し、今回初めて日本に訪れたが、大きなチャンスがあると実感している。

電化製品やファッションなどの商品を扱う日本の事業者は、海外に販路を広げるためにイーベイを活用して欲しい。大企業から中小企業まで、幅広い事業者に出品を呼びかけていく計画だ。

日本の事業者や消費者が、商品を国境をまたいで売買する「越境EC」は、国内の事業者も力を入れており、競争が激しくなりつつある。訪日客の”爆買い”が話題になる中国を筆頭に、海外消費者の購買力をECに取り込もうとする狙いが背景にある。楽天は7月に東京で開催した「楽天市場」出店者向けの最大規模のイベント「楽天EXPO 2015」で、越境ECを推進する方針を打ち出した。また、ヤフーもアリババグループ・ホールディングと連携し、中国向けの越境EC支援を検討している。

 日本市場でどう勝ち抜くか?

デヴィン・ウェニグ(Devin Wenig)米情報サービスのトムソン・ロイターに18年間在籍し、トムソン・ロイター・マーケッツのCEOとしてメディア事業や金融事業を率いる。2011年9月に イーベイに移籍しマーケットプレイス部門のトップに就任。ペイパルの分社化に合わせ、今年7月、イーベイCEOに就任
(撮影:今井康一)

――イーベイを使って越境ECを展開することを日本の事業者にアピールする上で、何が強みとなるのか。

楽天、ヤフーと比べると、イーベイは最もグローバルに事業展開をしている。 イーベイに出品すれば、アプリを展開する190の国と地域の購入者を相手にビジネスができる。これは、日本の事業者にとって非常に大きな魅力だ。

――日本の商品を、中国の消費者が買う商流の拡大に期待しているのか?

中国はもちろんだが、イーベイで商品を購入する人は世界中にいる。アジア太平洋地域では、中国のほか、オーストラリアと韓国の事業基盤も分厚い。インドも急成長中だ。ドル高なので、北米の購入者も増やせるだろう。

――今後、日本に対する投資を加速するのか。

その通りだ。日本では、事業者のイーベイへの参加は順調に増えているが、一般消費者の間で利用が十分に広がっているかというと、まだこれからだ。越境ECでは、言語対応の強化と物流の改善がカギになる。現時点で具体的な計画ができているわけではないが、テコ入れを進める方針だ。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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