このままでは再び災害弱者が命を落とす--全国の医師30人が原発再稼働に反対を表明

このままでは再び災害弱者が命を落とす--全国の医師30人が原発再稼働に反対を表明

「原子力発電所の再稼働には設備のストレステスト(耐性評価)以上に災害医療の確保が必要だが、現状の対策ではまったく不十分。現時点で防ぎ得た死を回避できない以上、原発事故のリスクを高める再稼働をさせてはならない」

佐賀市内の開業医など全国30人の医師が呼びかけ人となって結成された「災害医療と原発事故危機管理体制を緊急提言する医師の会」は4月11日、衆議院第一議員会館内で記者会見を開催。避難の遅れで寝たきりの高齢者など50人以上の命が失われた福島第一原発事故の教訓を踏まえていないとして、政府が認めようとしている大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に反対する姿勢を明らかにした(上写真)。

そのうえで医師の会は、原発災害に関する地域防災計画での自治体主体の地域医療ネットワーク確立など4項目の緊急提言を発表。自治体が国の指示を待たずに消防や警察、自衛隊などと連携して住民に適切な指示ができる医療情報伝達ネットワークの確立や、避難経路の確保などの対策が必要だと指摘した。

記者会見に臨んだ佐賀市の満岡聰医師(満岡内科消化器科医院院長)は、「プルサーマル・佐賀県民投票の会」代表として、九州電力・玄海原発(佐賀県玄海町)でのプルサーマル発電導入に際して県民投票条例制定の直接請求に取り組んだ人物。
 
 在宅医療に熱心な満岡氏は、「現在の体制では原発事故時に高齢者や障害を持つ人は安全に避難できない」と発言。「厚生労働省の防災業務計画では、個別疾患にかかわる防災体制の整備は人工透析患者と人工呼吸器を使用している難病患者など一部。長期的にケアが必要な高齢者は対象外になっている」と指摘した。

記者会見に同席した阿部知子衆議院議員(社民党政策審議会長)も、「私も医師の一人として、あまりにも拙速な再稼働は看過できない」と発言。「(再稼働に御墨付きを与えた)原子力安全・保安院は大飯原発から10キロメートル圏内ですら、医療施設の所在地や在宅の重症患者の状況を把握していないことがわかった。自治体のほうでも重症患者を安全に避難させるための避難計画を持っていない」と指摘した。

再稼働の前提条件とされたストレステスト(1次評価)は原子炉および使用済み燃料プールの安全性の確保が主眼。その防御ラインが突破されて大事故が起きた場合の対策は手つかずのままだ。緊急時に最後の砦となる医師からの警告を、政府は深刻に受け止めるべきではなかろうか。
 


満岡聰医師


阿部知子衆議院議員

(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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