アステラス製薬

新薬ビジネスで価値を提供する アステラス製薬

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アステラス製薬は2005年、当時の山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した。以来、同社は「アンメットニーズ」に挑み、新薬ビジネスを通じて革新的な新薬と自社の強みを生かしたソリューションを生み出しつつある。着実な成長の裏にはどのような経営戦略があるのか、またどのような計数ガイダンスを掲げているのか。同社の桝田恭正CFOと、競争戦略論を専門とする一橋大学大学院国際企業戦略研究科の楠木建教授が話し合った。

楠木 僕の専門の「戦略」は、他社との違いをどうつくるのかということです。御社は合併により、どのような違いを生み出そうとしたのですか。

桝田 合併以来、新薬ビジネスに経営資源を集中するとともに「アンメットニーズ(Unmet Needs)」と呼ばれる、治療満足度が低い疾患領域において革新的な医薬品を創出し、競争優位を確立する「グローバル・カテゴリー・リーダー(GCL)」というビジネスモデルを追求してきました。すでに、泌尿器疾患や移植の領域ではGCLを実現できたと自負しています。現在はがん領域を次のGCLにするために取り組んでいるところです。

楠木 製薬業界では大型の合併が相次ぎました。規模が大きくなり利用可能な資源が多くなると、普通なら戦略が緩くなりがちです。ところが御社では逆に、そこを絞ったのですね。

桝田 はい。特に当社の場合、特化の度合いが違います。一般用医薬品や後発医薬品を手掛けず新薬ビジネスに絞り、アンメットニーズのあるところで差別化できるイノベーションを起こし、新薬を患者さんに届けていく道を選びました。おかげさまで業績は順調に推移しています。

楠木 僕にすれば、製薬業界は「位置エネルギー」が高い。その業界に存在することが利益の源泉になっている。つまり戦略よりも規模の論理になるわけですが、御社は違うのですね。

桝田 恭正
Yasumasa MASUDA
アステラス製薬
上席執行役員 財務担当(CFO)
●1957年生まれ。80年慶應義塾大学経済学部卒業。2001年12月ノースウェスタン大学ケロッグ校経営学修士課程卒業。1980年藤沢薬品工業株式会社入社。2003年経理財務部 財務室長。2005年4月アステラス製薬株式会社 財務部長および執行役員 経営推進部長などを経て2012年6月より現職。

桝田 各国において医薬品コストの抑制が進んでおり新薬ビジネスを取り巻く環境は安泰というわけではなく、ますます個々の企業の戦略が、重要になると考えています。

楠木 事業環境の変化スピードが速まると、規模や資本が大きいことが逆にマイナスに作用することもありますか?

桝田 そういうこともあるかと思います。そのため当社は研究開発力や技術力を磨き、単に規模を追うのではなく、イノベーションをアンメットニーズにぶつける戦略に基づいて持続的な成長を目指しております。

楠木 なるほど。

桝田 当社はこの5月、3カ年の経営計画を発表しました。ここでは「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」という新しいビジョンのもと「製品価値の最大化」、「イノベーションの創出」、「Operational Excellenceの追求」の3つの戦略を推進し、中長期にわたる成長を掲げています。具体的な計数目標も示しており、株主資本利益率(ROE)は15%以上、R&D費は売上比17%以上、年平均の売上成長率は1桁台半ばとしています。

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