新「iPad」狂想曲! 発売当日ドキュメント

新「iPad」狂想曲!発売当日ドキュメント

3月15日夜11時30分。銀座(東京都中央区)のアップルストアの店頭は、すでに数十人が列をつくっていた。最前列では、翌日に備え、寝袋にこもった人の姿も。いずれもお目当ては、世界10カ国・地域で販売する、アップルの新型タブレット(携帯型情報端末)「iPad(アイパッド)」だ。

明けて16日朝7時。アップルストア前の行列は、当然ながらさらに膨らんでいた。行列は約300人。マスメディアの数も50人におよぶ。開店は8時(通常10時)なのだが、この寒風にもかかわらず、今か今かと待ち構えている状態だ。真っ黒なゴーストの着ぐるみ、侍姿、さらには厚紙でつくった等身大のアイパッド……この手のイベントではおなじみのコスプレも登場した。

最前列の2人組は、一昨日、水曜の夜7時から並んでいた。何と37時間待ちだ。19歳と20歳の男性で、それぞれ、横浜市青葉区(神奈川県)、町田市(東京都)から、来たという。

「やっぱりきれいな液晶に期待してます!」。眼鏡をかけた19歳の方の男性が報道陣の質問にハイテンションで答える。過去には、表参道(ソフトバンクショップ)の発売セレモニーなどにも駆けつけており、根っからのアップルファンだろう。

7時半。行列は400人。7時55分には、450人を超えた。一気に緊張が高まる。テレビカメラがずらり並ぶ中、ガラス越しの店内では、ブルーのユニフォームを着たアップルストアのスタッフが、おたけびを挙げて盛り上がり出した。大声で歌っているのは何やら英語の歌だ。スタッフ自体、外国人が多いから、パーティーのようでまるで違和感がない。その後、一斉にスタッフが飛び出し、客も含め、みんなでカウントを数え始める。

「5・4・3・2・1…ゼロ!」。いよいよ始まった。「Wi−Fi」(16ギガバイトモデル、4万2800円)、「Wi−Fi+4G」(同5万3800円)と、モデルごとにグループに分け、客をスタッフが誘導した。フラッシュの放列を浴びる中、待ち構えたアップル・フリークたちが次々と店内に消えていった--。

一方、同じ銀座・中央通りで5分と離れていない、ソフトバンクショップ銀座店でも、同時刻にイベントは行われていた。列は70人。アップルストアに比べれば少ないが、こちらは孫正義社長、タレントのトリンドル玲奈さんが登場、彩りを添えた。

「今回の『アイパッド』は、見た目だけではわからない、中身の進化がある。普通は画面がきれいになれば、その分、電力を食ったり重くなったりするが、それがない。トータルのバランスが絶妙だ。ソフトとハードを統合するというジョブズの思想が、いい形で表れている」。

店内で行われた囲みの会見で、孫社長はそう強調した。

ちなみに中央通りでは、同じ16日、ユニクロで世界最大店舗の銀座店もオープンした。メディアの人間は、アップル・ソフトバンク・ユニクロと、数十メートルの間をまたいで大忙しだ。ソフトバンクショップ銀座店は、旧ユニクロ銀座店メンズ館跡地でもある。囲み会見の最後、孫社長は楽屋話を明かした。

「この店舗は柳井さん(=柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長)から譲ってもらった。柳井さんに『銀座で店(の用地)を探してるんですよ』と言ったら、柳井さんが『じゃ、ちょうどいい』ということで。まさに友達よしみです(笑)」。

アップル・ソフトバンク・ユニクロ。16日のイベントは、ようやく盛り上がりつつある国内消費を、これら元気な会社が銀座で証明したのかもしれない。果たして、年末発売とも予想される次期「iPhone(アイフォーン)」では、どんな狂想曲が奏でられるのか。当面話題は尽きなさそうだ。

3月19日発売の『週刊東洋経済』3月24日号では、『アップルの賞味期限』と題して、16ページにわたるレポートを掲載。絶好調の業績の裏側、突如浮上した中国リスクなど、多方面からアップルの実情を検証した。ぜひともご覧いただきたい。

(タイトル横写真撮影:風間仁一郎)

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