縮少する国内自動車マーケット “外弁慶”スバルが挑む国内販売テコ入れ大作戦

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まず手を着けたのが、販売統括会社体制への移行だ。たとえば、九州各県でバラバラに存在する販売会社を、九州の統括会社の下に統合し、地域内で在庫の重複を減らすことなどにより、固定費の圧縮が見込める。00年代前半、ほかの国内自動車メーカーは国内販社の集約を済ませており、遅ればせながらスバルも乗り出した形だ。

08年4月には、直営販社29社を六つの統括会社の下に再編する方針を打ち出した。08年10月に九州と近畿に統括会社を設立、同年春にはその他地域も順次、統括会社体制に移行した。加えて550あった販売店舗数も1割削減した。当然、この改革を実行するうえで販売現場は猛反発。「吉永さんにはついていけない。販売現場からそんな声もあった」(吉永社長)が、国内需要が落ちている中、店舗数を維持し切れないと押し切った。

こうした国内販売の改革によって、固定費は1割、額にして約94億円圧縮できた。赤字に慣れかけていた国内は黒字化。守りの体制は整った。11年に入り、満を持して攻めに転じた。

攻めに転じる国内販売 独自保険でスバル色

スバルは昨年、「安心と愉しさ」をスローガンにする国内販売強化策を発表。08年に独自開発した「アイサイト」という安全装置を差別化技術としてアピールしてきた。前方に付けたカメラで障害物を認識すると、自動ブレーキによって車両を停止させる制御システム。このアイサイトで構築した安全・安心を重視するブランドイメージを、国内の販売現場全体へ浸透させることを狙う。

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