エルピーダメモリがついに経営破綻 坂本幸雄社長会見詳報
--先月1月、10~12月期決算説明の場では「3月までの資金繰りは問題」ないと発言していた。その後、なぜ資金繰りがここまで悪化したのか。銀行からリファイナンスに応じないと、最後通告があったのか。
資金繰りについては3月までは大丈夫だと考えていた。しかし、その先を見ると資金がかなりショートする。リファイナンスが難しいことが理解できたため、今が(会社更生法の適用申請を行う)ベストのタイミングと判断した。
--政策投資銀行、メガバンク含めて全行がリファイナンスに応じなかったのか。
具体的にお答えすることはできない。
--DRAMの事業がここまで厳しい状況になったのはなぜか。
日本の半導体のマーケットシェアを見ていただければよくわかる。過去70~80%あったものが、いまでは15%くらいまで落ちている。その最大の理由は、日本の開発力が落ちてきているということ。
それから、円高だ。リーマンショック前と今を比較すると、韓国のウォンとでは為替で70%もの違いが出ている。70%の違いというのは、技術で2世代ほど先行しないとペイしない。為替で完璧に競争力を失ってしまっている。70%の差はいかんともしがたい。この1年間で起きた為替変動の大きさは、一企業の努力ではカバーしきれきれない。
DRAM事業は、更生手続きを経て今後も続いていくと考えている。DRAMの火は、われわれのところで消したくない。
--公的資金を入れたにもかかわらず、経営破綻した経営責任をどう考えるか。社長を辞任するつもりはないのか。
私自身としては、会社の行く末をきちんと見届けなければいけないと考えている。いま責任をとって辞めるのは簡単だが、経営者としてエルピーダの行く末を見届けてから覚悟を持って辞めていきたい。
--再建するにしても、規模をかなり拡大しないと同じ失敗を繰り返す恐れがあるのではないか。シェアや、キャッシュ、設備投資などで、それぞれどれくらいの規模が必要と考えているか。
DRAM業界で生き残っていくには、シェアで30%くらいは必要。そのあたりを頭に入れながら、いろいろな再建策をこれから考えていきたい。投資金額については、リーマンショック後にローコストな体質を築いたので、年間400億円くらいで何とかなる。