エルピーダメモリがついに経営破綻 坂本幸雄社長会見詳報

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エルピーダメモリがついに経営破綻、坂本幸雄社長会見詳報

資金繰り危機に陥っていた半導体大手エルピーダメモリが2月27日、会社更生法の適用を申請し経営破綻した。日本唯一のDRAM企業として2009年、公的支援によって急場を乗り切った同社だが、今年に入るやDRAM価格の急落と歴史的な円高に見舞われ再び資金繰り危機に直面、自力再建を断念した。

2012年3月期は1000億円を超す巨額損失がほぼ確実。手元資金は2月時点で500億円程度まで低下しており、資金ショートを起こすのは時間の問題と見られていた。3月22日には150億円の社債が償還期限を迎え、4月2日には公的支援スキームで得た借入金770億円の返済期限が到来。さらに、日本政策投資銀行による優先株300億円に対する金銭対価取得請求権が発生するスケジュールとなっており、1200億円を超すキャッシュを4月2日までに用意しなければならなかったからだ。銀行側の融資姿勢は厳しく、エルピーダにとっては強力な再建計画を提示できるかどうかが勝負だった。

存続へのカギは再編を軸とした再建シナリオで、同社をめぐっては、米DRAM大手マイクロン・テクノロジーやNAND型フラッシュメモリー世界2位の東芝の名前が提携先候補として浮上。ルネサスエレクトロニクスや富士通、パナソニックなどシステムLSI企業を巻き込んだ経済産業省よる再編シナリオも取りざたされた。しかし、足元のDRAM業界は壊滅的な状況にあり、DRAM専業のエルピーダを立ち直らせるには、相当な力業が必要。結局、いずれの再建プランも煮詰まることはなく、時間切れになった格好だ。

27日夜、記者会見したエルピーダメモリの坂本幸雄社長は「この1年で起きた為替変動の大きさは、一企業の努力ではカバーしきれなかった」などと語った。

記者会見での一問一答は以下のとおり。

--なぜ会社更生法の申請が今日になったのか。

会社更生法の適用申請を最終的に決めたのは今日の午後3時。今日までにいろいろなところから、いろんなオファーが最終的に出てくることになっていて、それを待っていた。しかし、具体的なコミットメントではなく、インテンション(単なる意図)だった。長期的なキャッシュフローを見たときに、会社の存続にかなりリスクがあるため、今日の午後3時に(適用申請)を決めた。

--スポンサーも含めて、今後の姿をどう描いているか。

今後のあるべき姿は、これから考えていきたい。

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