中国、「経済崩壊にもっとも近い国」の行方 生産能力の過剰が経済を脅かす時限爆弾に

拡大
縮小

まず第一に、習国家主席は税金特権を管理する地方政府に対して厳しい規制を設け、政府からの民間企業に対する助成金を全て透明化させるべきである。これらを規制すれば、習国家主席も中国という国家をイノベーションとサービス部門主体の経済へと移行していきやすいというものだ。

2番目に、習国家主席とその陣営は地方政府から反対の声があがったとしても、倒産企業の破産・清算を許可、いやむしろ推奨すべきである。倒産企業の過保護は経営不良と低効率の長期化を助長するだけだ。

報道の自由を奨励すべき

3番目に、習国家主席の政府は中国の金融市場の改革を加速させる必要がある。国有銀行に独占されている現在の金融制度では、企業は革新することよりもできるだけ大きく成長することに邁進してしまうため、生産能力過剰が起こってしまう。

国有銀行は企業が大きければ大きいほど政府からの保護を受けられるため、地方政府がバックアップしているスケールの大きいプロジェクトにお金を貸したがる。中国は未公開株式、中小企業債券、クラウドファンディングを推奨しなければならないし、地方企業に仕える地方銀行の発展を許可すべきである。この分野に関してはアメリカにたくさんの経験と専門知識があるので活用すると良い。

4点目に、習国家主席は報道の自由を奨励すべきである。なぜならば経済の発展、貧困削減、良きガバナンスの確立には欠かせない要素だからだ。報道の自由化によって地方政府の監視及び規則破りの批判が可能となるため習国家主席の改革政策がやりやすくなるし、政府予算や助成プログラムも透明化しやすくなる。

中国経済が転換点に達したその瞬間、習国家主席のアメリカ訪問と国連持続可能な開発委員会への出席が一度に可能となるだろう。習国家主席は無関心でいるのではなく自信を持つべきだ。

(執筆:Shuaihua Wallace Cheng)

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT