来たる2020年、そしてその先のために
日本の玄関口「羽田空港」に、
今何が求められているのか。
国土交通省

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人口減少や少子高齢化が進む中、日本の経済社会を維持・発展させていくためには、今後よりいっそう、海外との結びつきを深めていくことが不可欠だ。その玄関口となる東京国際空港(羽田空港)は、成田国際空港(成田空港)とともに大きな期待がかかるが、羽田空港の国際線発着回数は現在、ほぼ限界とも言われる。課題解決のために、どのような方法があるのか。航空アナリストで首都大学東京客員教授も務める杉浦一機氏に聞いた。
航空アナリスト 杉浦一機
首都大学東京客員教授。利用者の立場に立つ航空輸送の評論がモットー。参議院運輸委員会調査室客員調査員、経産省産業構造審議会臨時委員、福岡空港調査委員会委員、東京都の航空・空港関連委員会委員などを歴任

世界と比べて遅れをとる日本の空港事情

経済社会の活性化や国際競争力の向上を支えるという観点で、国際空港の担う役割は大きい。

「残念ながら、世界の主要都市と比較すると、日本の首都圏の空港の地位は依然として低いと言わざるを得ません」と、杉浦一機氏は語る。

羽田空港は2010年10月、D滑走路供用開始により再び国際線定期便が就航した。14年3月には国際線旅客ターミナルビルの拡張などにともない、国際線の発着枠が6万回から9万回に増え、年間発着枠が44.7万回(深夜早朝を除く)となった。成田空港では、これまで順次発着枠が拡大されてきたが、15年にはさらに発着方式の改善などにより年間発着枠が30万回となった。

これらにより羽田、成田という2つの首都圏空港の年間発着枠は75万回を達成し、容量的にはアジアトップクラスになったわけだが、杉浦氏は「それでも、ニューヨーク(JFK、ニューアーク、ラガーディアなどで119万回)、ロンドン(ヒースロー、スタンステッド、ガドウィックなどで104万回)などと比較するとまだ差があります。さらに重要な視点として、アジアにおいては、香港、シンガポール・チャンギ、ソウル・仁川などが国を挙げて空港の機能強化を行い、戦略的に国際線旅客を大きく伸ばしているのに対して、水をあけられています。このままでは東京、そして日本全体が世界の都市間競争の中で埋没してしまう恐れがあります」と話す。

東京の都市競争力強化に向け期待が高まる羽田空港

「しかしながら、世界の主要都市の空港の中で、羽田空港はもっとも都心に近い空港と言え、それを有効に活用することにより、東京はアジアの諸都市との激しい競争に打ち勝つチャンスはあります。ただし、現状はそのポテンシャルを生かし切れていません」と杉浦氏は指摘する。

前述したように国際定期便が再び就航した羽田空港では、その立地に加え、24時間オープンしているといった強みを生かして、外国企業の拠点や海外ビジネスを呼び込むことが期待される。世界中からヒト・モノ・カネを呼び込み、首都圏、そして我が国の国際競争力を強化することが重要だ。また、増加する外国人旅行者をさらに呼び込むとともに、豊富な国内線と国際線を結ぶことで、日本各地と世界の交流を活発化させる必要がある。

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