リーダーシップとは、すなわちコミュニケーションである。これはアメリカでは広く浸透する考え方だ。強いコミュニケーション力なくしてリーダーシップは発揮できない。当たり前のようだが、日本ではそうでもない。「巧言令色鮮し仁」などと揶揄し、「伝える努力をしなくても、相手はきっとわかってくれる」と、超能力のようなことを信じているリーダーが大勢いる。
コミュ力欠乏症候群に陥っているリーダーのタイプは主に3つ。
数学や読み書きよりも「コミュ力」のほうが重要
「子供が将来、人生で成功するために最も重要なスキルは何か」。アメリカで行われたある調査で、数学や読み書き、チームワークといったスキルをはるかに超えて、ナンバー1となったのは、ほかならぬ「コミュニケーション」だった。アメリカでは、多くの人が人生の中で、教育や研修、トレーニングなどを重ねてコミュ力を磨き、壮絶なサバイバル競争を経て、最強のコミュ力勝者がリーダーに這い上がる。コミュニケーションは多くの人にとって、最強の武器であり、ツールであるが、残念ながら日本では最もその力を活用すべきリーダーとて、ごく少数をのぞいて、その力を生かし切れてはいない。
ここで強調したいのは、コミュニケーション力が高い=口がうまい、ということでは決してないことだ。たとえば、アナウンサーのように滑舌よく、耳障りよくしゃべる、とか、芸人のようにウケがとれる、とかといったことは実はそれほど重要ではない。司会者風に話すトップなんて、やはりなんだかうさんくさい。リーダーにとって本当に重要なコミュニケーション資質。それは、「場の支配力」、「対話力」と「熱量」だ。
よく「日本でコミュ力の高いトップというと誰を思い浮かべますか?」という質問をトップにすると、ソフトバンクの孫さん、楽天の三木谷さんといった名前が挙がってくる。そして、多くは「ああいうパフォーマンスはうちには合わない」「あの人たちは別格」と言う。強烈な個性を持つ創業社長は、日本に多くいるサラリーマン社長にはロールモデルにはなかなか、なりえないようだ。
ということで、上記の3つの資質を持ち、サラリーマン社長のお手本になりそうな成功事例はないかと、トップやメディア関係者に聞いて回ったところ、頻繁に名前の挙がってくる社長がいた。日立製作所の中西宏明会長兼CEOだ。見た目は、落ち着いた「The日本の大企業の社長」というイメージなのだが、蓋を開けると、「日立」らしからぬ型破り社長のようだ。
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