佐山展生氏はスカイマークをどう変える? 「再上場の条件は"面白い会社"になること」

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重要なポイントは羽田空港の発着枠だ。少なくとも路線ではANAやJALと勝負できる。ただ、コストを上げてまで同様のフルサービスにしようとは思わない。安全と定時出発という大前提の上に、価格競争力がなければならない。

ANAが出資することでスカイマークの運賃が高止まりするとの声もあったが、ANAとしても出資先のスカイマークの売り上げが減るので意味がない。これまでと同じような価格で飛ばしていく。

乗ってもらえる路線に特化する

スカイマークの搭乗率は改善傾向にある(撮影:尾形文繁)

――搭乗率は改善傾向にあり、今夏には単月黒字に復帰した。

搭乗率は平均して70%を超えていれば、かなりいい水準だ。ただ、冬場はいったん下がるので、年間を通してどこまで踏ん張れるかを見ないといけない。

どちらにしても、搭乗率を上げる手だてを講じ、上がるところは飛ばすし、そうでないところはほかに振り返る。

(羽田発着の)福岡線や新千歳線の搭乗率は高く、沖縄や鹿児島の路線もいい。一方で、米子と仙台は撤退する。茨城発着の路線も、民事再生を申し立てた時には「しんどいのでは」との声も上がったが、茨城県知事が前向きに支援してくれた。今では、茨城―新千歳線は90%以上の搭乗率だ。乗ってもらえるところは強化していく。

――ANAとはどのようにコードシェア(共同運航)していくのか。

ここ最近、毎日のように議論している。今はまず、システムをどうするかという話。具体的な路線の議論には至っていない。ANAが出資しているスターフライヤーやエア・ドゥといった航空会社は、ANAの予約システムを使っており、収入はいったんANAに行った後に遅れて入ってくる。これでは誰が見ても独立性がないので、スカイマークにはできない。

今はスカイマークの既存のシステムとANAのものとをつなぐ方向で話している。新体制発足時には方向性は決まるが、システム変更には半年かそれ以上の時間がかかる。

スカイマークにとっては、空いている座席が、従来なら利用しなかったANAの客が来ることで埋まる。ANAにとっても、スカイマークから仕入れる席はコストが安い一方、ほかのANA便と同じ値段で売ることができるので、利幅が大きい。互いにメリットがある。

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