なぜホンダは原付バイクを日本製に戻すのか 国内の生産比率は8割まで上昇へ

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50ccの原付バイクはホンダの国内2輪販売の半分を占めるメインカテゴリーだが、単価が安いこともあり、大型車と比べると収益の貢献度は低い。海外生産のメリットが薄れたとはいえ、国内回帰が大幅なコストダウンにつながるわけではなさそうだ。

欧州で先行発売する「CRF1000L Africa Twin」

むしろ2輪事業における重大イベントは、2015年末に欧州で発売し、熊本製作所で生産する大型ツーリングバイク「アフリカツイン」だろう。初代がデビューしたのは1988年。オフロードでの耐久性と高い操作性が受け、歴代モデルは世界で高い人気を誇った。新型車にはこの10年間、オンロード・オフロードモデルで開発に取り組んできた技術がいくつも詰め込まれているという。

欧州の先行発売が大きな試金石に

今年就任したホンダの八郷隆弘社長も「アフリカツインでホンダらしさを体感できる商品をお届けしていく」と、7月の会見で自信を見ている。欧州での希望小売価格(税込み)はスタンダードモデルで1.21万ユーロ(直近の為替レートで165万円)を予定。今後、北米や日本などでの販売を計画しており、皮切りとなる欧州販売の動向は大きなポイントだ。

多くの日本企業が海外生産を増やしてきた中、今回、ホンダが原付を国内生産に回帰させるのは、象徴的な出来事ではある。ただ、現実的な収益の拡大と国内生産活性化は、ブランドイメージを牽引し、かつ利幅の大きい中・大型車の販売を国内外でどれだけ伸ばせるかにかかっている。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年10月から東洋経済編集部でニュースや特集の編集を担当。

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