アップルが人工知能分野の人材採用を強化

プライバシー保護の徹底が足かせに

 9月7日、米アップルはハイテク業界が競って開発を進める人工知能分野での人材確保を加速させている。写真はNYのアップル店舗のロゴと顧客。7月21日撮影。(2015年 ロイター/Mike Segar)

[7日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は、ハイテク業界が競って開発を進める人工知能(AI)分野での人材確保を加速させている。このほどAI関連の専門家86人以上の採用を進めている。

AIにより、スマートフォン(スマホ)利用者の潜在ニーズをつかみ、スマホが先回りして利用者に情報を提供する技術を目指しており、先行する米グーグル<GOOGL.O>に対抗する狙いがある。

ただ急速に発展するAI分野で、プライバシーに対するアップルの厳しい姿勢が他社との開発競争で足かせとなる可能性があるとの見方が出ている。

潜在ニーズを探る上で、予測の正確さはデータ量が左右する。だがアップルは利用者のデータ保護のため、厳しい制限を自ら設けている。同社は情報分析を行なう上で、主に「iPhone(アイフォーン)」の利用者情報に依存する。クラウド上では、他の何百万人の情報と共に分析することが可能だが、アップルはデータをクラウドに送ることはしていない。

アップルは2011年、音声入力・応答サービス「シリ」を導入。だがこうした利用者へのアシスタンス機能で、アップルはその後、グーグルや米マイクロソフト<MSFT.O>に遅れをとっている。

アシスタンス機能への需要が高まる中で、ライバルとの格差を放置しておける余裕はアップルにはないようだ。アイフォーンは足元で、アップルの売上高全体の約3分の2を占めており、グーグルの「アンドロイド」搭載スマホがやや優位な立場に立つだけで、アップルにとっては大きな脅威となる。

例えばAIの世界で今注目を集めている「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる研究分野。こうした分野の開発には大量のデータを必要とする。

元アップル社員は、データへの無制限のアクセスを求める研究者は、厳しいプライバシー方針からアップルでの仕事を敬遠すると話す。

一方で学界からは、アップルが会議への積極的な参加や大学研究所との連携などを通じ、専門家との関係を深めているとの指摘が出ており、一部の研究者はプライバシーの制約の元で研究を進めることに惹かれるかもしれないという。

仮にアップルがプライバシーを損ねることなくグーグルに対抗できれば、今度はグーグルのデータ分析姿勢に厳しい視線が集まり、プライバシー保護要求が強まる可能性もある。

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