価値づくり経営の論理 日本製造業の生きる道 延岡健太郎著 ~価値づくりあってこそ活路が開ける

価値づくり経営の論理 日本製造業の生きる道 延岡健太郎著 ~価値づくりあってこそ活路が開ける

評者 中沢孝夫 福井県立大学特任教授

日本のものづくりが新しい段階を迎えている。近年の日本の電機産業の不振は、「顧客が普通に満足する機能をもった商品であれば、日本企業でなくても十分に開発・製造できるようになった」ことに原因があるのは、本書の指摘するとおりである。

特にエレクトロニクス系商品のモジュール化・オープン化・標準化の流れはとまらない。新しい機能を開発してもすぐに追いつかれてしまう。そこには技術革新の先行者利得は存在しない。儲からないものづくり、という消耗戦があるだけだ。

ではどうしたらよいのだろう。著者は「日本企業は、積み重ね技術によって高度な擦り合わせ型商品を開発し、意味的価値を創出することによって、国際競争力を高めるべきである」と主張する。

著者の言う「意味的価値」とは、「機能やスペック」を超えて、「顧客が主観的に意味づける価値」のことであるが、それは消費者の手に届けられる最終商品のみにまつわる価値を指してはいない。生産財や部品・素材など顧客企業向けの「商品」も含まれた概念である。

著者は「深層の価値創造」という言葉を使うが、「企業の根底にある底力(組織能力・積み重ね技術)によって、顕在化していないが顧客が心から喜ぶ価値」を創りだすことによって、競争力と利益が獲得できる、と指摘する。そしてその重要な条件が「技術」である。

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