第3回
国勢調査員の仕事とは?
国勢調査員は非常勤の国家公務員
2015年の国勢調査では、全国で約70万人の国勢調査員(以下、「調査員」と言う)が実地調査の事務を担当します。調査員の身分は、総務大臣の任命による非常勤の国家公務員です。調査員は原則として20歳以上の人が対象。自治会・町内会からの推薦や一般公募で市報や自治体のウェブサイトで募集されます。さらに、前回調査の経験者からの選考など地域の実情に応じた方法により、候補者が推薦されます。
調査員を含め調査に携わる人すべてに対して、統計法により、調査対象者の秘密を保護する義務が課せられています。また国勢調査の調査票に記載された情報は、統計法に定める統計上の目的以外に使用することは禁止されていて、例えば、税務、警察など他の行政に用いられることは禁止されています。
戦前には、調査員になることは名誉なことでした。当時の社会は、基本的に農村社会。村には地方の名望家がいました。こうした村の組織のリーダーたちを調査員に活用することによって、国勢調査は円滑に行われたのです。ちなみに第1回の国勢調査では調査員に対して、記念章が授与されています。
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なりすまし(かたり調査)には注意してください
調査員の仕事は、説明会への参加、担当地区の確認のほか、調査についての説明と調査書類の配布、調査票の回収、調査票の整理と提出などです。業務期間は2015年8月下旬から10月の予定。薄謝ですが、報酬も支給されます。
調査員は、9月上旬から受け持ち調査区を巡回して、居住の実態を確認し、各世帯にインターネット回答に必要なID、パスワードなどの調査書類を配布して、回答を依頼します(これを「オンライン調査先行方式」と言います)。
一定の回答期間を経たあと、インターネット回答を得られなかった世帯に紙の調査票と説明資料など一式を配布して、再び回答を依頼します。
10月上旬には、調査票の提出状況を確認のために再び訪問し、郵送提出(またはオンライン回答)した世帯以外の世帯から、記入済みの調査票を回収します。調査員は世帯から回収した調査票を市町村に提出します。ちなみに調査票はOCRで入力を行うことから、黒の鉛筆(シャープペンシルでも可)で記入するとされています。
各家庭に調査票を配布する際は、原則として手渡しなので不在の場合でも郵便受けに入れていくことは行わず、連絡メモを置いて再訪することになっています。
なお「国勢調査」の実施時期になると、国勢調査の名をかたって、個人情報を聞き出そうとするなりすまし(「かたり調査」)が発生することがあります。調査員は、写真付きの調査員証を携帯していますので、疑問に思ったら確認するようにしてください。また、国勢調査では、調査員がいきなり電話で調査を行うことはありません。