中国で沸騰!取引所ブーム、規制や法律の未整備が課題

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一つは法律や規則などが十分に整備されていないこと。もう一つはそれぞれで作った規則が、いずれも当該取引所の利益だけを守るものとなっているので、本来の意味で規則となりえていないとの懸念が消えない点だ。

出資金での購入作品がその後4割も価格上昇

特に、芸術品の取引所は多くの問題を抱えている。鄭州文交所では「芸術品+金融」の形式を作り出した。まず約200人に出資してもらい、芸術品を購入。買った芸術品が高く売られたときに、出資者全員に利益を分配するという方法だ。

天津でも同じ方式が採られている。集めた出資金で買った『荷葉千秋』『翡翠龍壁』という作品は、公開日にそれぞれ40%も価値が上昇したという。こういった話が出ると、投資家が殺到し、投機的な値動きを呼ぶとともにリスクも高まる。

新たな取引形式が編み出され、誰もが儲けられると思って手を出そうとするが、利益の保証はまったくない。事実、「多くの素人が大損をした事例をよく聞く」と取引所の関係者は明かす。

本誌は数人の学者を取材したが、取引所ブームに対しては異口同音に、「その熱を下げるべきだ」と主張する。また、「取引所は実体経済に役立つものでなければならない」と強調していた。地方自治体がわれ先にと儲けに走る現実を、このまま看過すべきではない。

(『中国経済周刊』 9月19日号/劉永剛記者(北京、河南からの報道) =週刊東洋経済2011年11月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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