総務省統計局

第2回
国勢調査とインターネット

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実は今年、国勢調査の回答方法や調査結果の利用法が大きく変わろうとしています。これは多くのビジネスパーソンにとっても、見逃せない話です。国勢調査の何が変わり、何が変わらないのか。仕事をする上でも知っておいて損はありません。今回は、国勢調査におけるインターネット利用の利便性向上について紹介したいと思います。

今年から全国でインターネット回答が導入されます

皆さんは2015年の国勢調査が非常に注目されていることをご存じでしょうか。その理由の一つが、全国でインターネットによる回答方式が初めて導入されることにあります。前回は東京都のみに限定されていましたが、今回から全国で「インターネット回答の利用案内」の用紙が配布され、インターネットを利用した調査票の回答が可能となりました。

狙いは、正確かつ効率的な統計作成や、回答者である私たちの負担軽減、利便性の向上を図るためです。情報通信技術(ICT)の急速な発展に伴う高度情報化社会の到来を踏まえ、統計調査の調査方法にオンライン調査を導入することになったのです。

国勢調査は、国だけではなく、都道府県や市町村の多くの職員、70万人を超える国勢調査員、指導員が一丸となって調査に当たります。しかし、オートロックマンションの増加など調査環境は厳しくなっています。マンションなど集合住宅の調査については、紙の調査とともに、このオンライン調査で、さらなる調査の深耕が期待されているのです。

今回の調査では、パソコンだけでなく、スマートフォンからも回答できるシステムが構築されました。さらに注目すべきは、オンライン回答の利用を促進するために、紙の調査票の配布・回収に先行してオンライン回答を受け付ける「オンライン調査先行方式」が導入されることです。

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9月上旬からオンライン回答できます

では、この「オンライン調査先行方式」は具体的にどのように実施されるのでしょうか。まず調査員が、9月上旬から担当の調査区を巡回して世帯の居住確認を行い、各世帯にオンライン回答用IDやパスワードを配布します。

私たちは、このIDやパスワードを使って、9月10日~20日の間にパソコンやスマートフォンなどで、インターネット回答を行うことができます。もちろん入力した情報は厳重なセキュリティ対策が行われているので、しっかり保護されます。

インターネット回答の受付期間終了後、回答のない世帯には紙の調査票が配布されます。紙の調査票は従来どおり、調査員に提出するか、郵送で提出することになります。記入の仕方などで不明な点があれば、配布資料に記載されている国勢調査のコールセンターや調査員に尋ねることができます。

国勢調査では、10月1日午前零時現在、国内に常住している人を、住民票の届け出場所にかかわらず、ふだん住んでいる場所で調査が行われます。常住の期間は3カ月間が目安とされています。

国内には5000万を超える世帯があり、約100万の調査区(調査員が担当する区域。1調査区おおむね50世帯)が設定されています。1人の調査員は、1ないし2の調査区を担当するため、2015年の国勢調査では、前述のように約70万人の人々が調査員として活動することになります。

ちなみに調査区には特殊な例もあります。たとえば、陸上ではなく、船舶など海上に住んでいる人などについては、10月1日~5日までの間に、港内に停泊している船舶を巡回して調査を行います。調査が終わった船舶には、旗の形をした「船舶調査済み証」が船舶の外から見やすい場所に掲出されます。

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連載一覧
第1回 国勢調査って、そもそも何?
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第3回 国勢調査員の仕事とは?
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第4回 国勢調査で何がわかるのか
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