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21世紀型「製造業のグローバル化」は何をもたらすか 「聖域」視されていた設計開発部門の変革が必要

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1980年代以降、日本企業、とくに製造業はグローバル化の波にさらされ続けてきた。しかしその内容は少しずつ変遷し、現在製造業には新たなグローバル化への対応が求められているとアクセンチュア製造・流通本部の相馬修吾マネジング・ディレクターは指摘する。日本企業が高付加価値化を達成するためには何が必要なのか。相馬氏に話をうかがった。

従来とは異なる「グローバル化の波」

製造業が「グローバル化」への対応を本格的に求められるようになったのは1980年代のこと。国内市場が飽和状態に達する中で、海外市場を開拓すべく従来国内市場だけを対象としていた企業も積極的に輸出に取り組んだ。

90年代になると、今度はコスト削減を目的とした現地生産のブームが訪れる。円高という背景もあり、日本で製品をつくって輸出するよりも現地で生産・販売した方が効率的な状況が生まれたのだ。

このように日本企業はグローバル化への対応を迫られてきたが、最近の日本の製造業を取り巻く状況は従来と異なっている。こう指摘するのが、アクセンチュア製造・流通本部の相馬修吾マネジング・ディレクターだ。

相馬氏は、「日本の製造業は『マーケット』『技術』『人材』の3つの視点において、従来と異なるグローバル化への要請にさらされています」と指摘する。

具体的にはこうだ。まずマーケットを見るとこれまで主戦場だった国内市場がすでに縮小する傾向にあり、新興国のような新たな市場で売れる製品の開発が求められてきている。技術面ではオープンイノベーションにより国内外問わず従来のものづくりとITやネットワーク技術を融合させる流れができつつある。さらには人材面では人口減少に伴う国内エンジニアの減少や新興国における技術人材の増加が生じている。こうした新しい流れは、従来のグローバル化への対応では対応しきれないと相馬氏は指摘する。

相馬氏がキーワードとして挙げるのが、「設計開発部門のグローバル化」だ。従来でも設計開発部門を海外に立ち上げ、現地市場に対応した製品を開発するという流れは存在した。しかしこれから求められるのは、国内・海外の区別なく、設計開発部門をグローバルに最適配置することだ。たとえば、高度な技術を求められる業務は技術者のスキルが高い地域に集約するといったように、国際的な分業体制を構築することが求められるのだ。

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