【産業天気図・鉄鋼】価格交渉は強気姿勢。「晴れ」が長続きする公算

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いかにメッセージを盛り込むか−−。住友金属工業<5405.東証>を除く高炉大手各社は9月7日、中間期業績予想の修正を一斉に発表した。新日鉄<5401.東証>は期初の経常利益予想を300億円増額。JFEホールディングス<5411.東証>の増額幅は100億円だが、余裕さえ感じる。神戸製鋼<5406.東証>も150億円上乗せした。
 この数字に込めたもの、それは自動車業界に向けた「メッセージ」だ。自動車会社とのひも付き価格交渉は今も続いている。鉄鋼各社の本音は「せめて亜鉛など副原料価格の上昇分くらいは飲んでもらいたい」。そこで「われわれは一歩も引きませんよ」との強気のメッセージを数字に込めた、という訳だ。
 鉄鋼各社はフル操業状態。一部、注文を断っている社もある。店売りは在庫が3月までにいったん解消されたが、再び増加。マーケットに柔軟に対応していく体制はできている。海外向けは足元、過剰設備を抱える中国が攪乱要因として再浮上してきており、価格は弱含んできた。このため何の懸念もない「快晴」とまでは言えなくなってきたが、高級鋼は海外向けも値上げに成功している。
 下期に中国の動きを警戒視しているのは各社共通。高級鋼シフトを加速することで成長を維持する覚悟は相当固そうだ。
【山本隆行記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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