「母に支配される娘」のどうにもならない葛藤

愛情という名の心理的虐待は根が深い

TBSテレビ『37.5℃の涙』(毎週木曜よる9時放送)のワンシーン。 蓮佛美沙子さん演じる主人公は、浅野温子さん演じる母との確執に悩む
「実母と合わない」「母の存在が重い」と感じる娘。「娘と性格が合わない」「娘を愛せない」と感じている母。実の母娘なのにこうした確執があるケースは、実は少なくない。そうした親子関係が虐待につながったり、正常な家族の機能を失った家庭環境で育った子どもが、大人になっても生きづらさを抱えている「アダルトチルドレン」を生んだりすることがある。
TBSテレビで毎週木曜よる9時にオンエア中の『37.5℃の涙』は、子どもが熱を出したときにどうしても仕事を休めない親に代わって、自宅に訪問して子どもの世話をする『病児保育士』を主人公にした連続ドラマ。ヒロインである新米病児保育士の奮闘と成長を描く裏で、その母親から子どものときに受けた虐待や成人後も続く親子関係のわだかまりなど、実際に社会で起こっている現象や問題も描いている。
近年では、虐待をする母は「毒母」と呼ばれることもある。実の「母と娘」の問題は、とても複雑だ。アダルトチルドレンや、子どもの虐待などの問題に取り組む臨床心理士であり、原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子さんが解説する。

「あなたのため」が子どもを追い詰める

「これはあなたのためなのよ」「あなたのことを一番わかっているのは母である私」「あなたは私がいないとダメなのよ」

このような一見、「子供のため」と思っているように見える言動は、実は母親自身の利益や満足のために行われており、子供を追い詰めて心を支配する、心理的な虐待にもなりかねません。

以前は虐待というと、殴る蹴るなどの身体的虐待ばかりがフューチャーされてきましたが、今は言葉による虐待や、真綿で首を絞めるような心理的虐待、兄弟間差別といった精神的に追い詰める虐待の数々が表面化してきました。

しかしながら、母から娘への行為は、どんなことでも基本的には愛情というフィルターを通して行われています。だから、娘は虐待とは思わないし、もちろん母も虐待とは思っていません。娘はその行為を重荷や疑問に思っても「母が虐待をするわけがない」「そんな風に思うなんて私は悪い子だ」と罪悪感を植え付けられます。

でも、自分の人生がままならなくなったとき、例えば、「自分は他人に比べて仕事が長続きしないし、人間関係も長続きしないけど何かあるのだろうか」――と悩んだときなどに、もしかしたら、昔から母に言われてきたことや、されてきたことが関係するのではないだろうかと考えるようになる。知らず知らずのうちに、母に支配されていた自分に気づくのです。

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