創業140年の名門、東芝が「不適切会計」で大きく揺れている。
2008年度から2014年度にかけ、経営トップを含めた組織的な関与で1500億円以上の利益がカサ上げされたという。この責任を取り歴代3社長が辞任。全取締役16人のうち8人、執行役1人が引責辞任する異例の事態となった。
原因究明のために設置された第三者委員会は7月20日に報告書を提出。「経営トップらを含めた組織的な関与」といった直接的な原因以外に「通報件数が少なく内部通報制度が十分活用されていない」ことなどが間接的な原因として挙げられた。
「内部通報制度」は従業員が企業の不正や問題点を通報できる制度だ。社内の透明性を高めるために有効とされる。以前は「まったくありません」という企業も少なくなかったが、最近は「規模に比例して一定数ある方が健全」という考えが主流になり、件数などを外部へ開示するケースも増えつつある。
では、日本企業の内部通報の状況はどうなのだろうか。今回は東芝を含む内部通報件数(一部、相談等も含む)のランキングをご紹介する。対象は『CSR企業総覧』2015年版掲載1305社のうち内部通報の件数などを開示している472社。このうち上位100社をランキングした。
1位はセブン&アイ、2位にヤマトHD
1位はセブン&アイ・ホールディングスの668件。内部通報窓口は各事業会社に「ヘルプライン」として設置。2009年9月からは国内全事業会社の 従業員が利用可能なグループ共通のヘルプラインも置く。
2位はヤマトホールディングスの440件。1件当たりは356.5人。約357人のうち1人が通報していることになる。3位は日清医療食品415件(同21.0人)、4位は明治安田生命保険324件(同114.6人)だ。
ランキング上位を見ると、1件当たり100人前後の企業も目立つ。100人未満は100位までで37社と多数を占める。この「100人に1人が通報する」という状態は厳密な数値ではないが、ひとつの目安となる可能性があるかもしれない。
実際の内部通報では窓口に「個人的な不満をぶちまける」ケースも少なくないという。中には「蛍光灯の交換の連絡」といったこともあるそうだ。窓口担当者はストレスなどの負担も大きいはずだ。
しかし、それでも少しでも気になることを自由に発言できる環境を整備することで、本当の問題点があがってくる確率は高くなる。よりよい仕組みを目指して適切な利用を従業員と一緒に考えながら進めていくべきだろう。
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