シャドーバンキング(規制逃れ的な金融行動)規制論議、規制のあり方と影響をわが国はもっと注視せよ
商社の事業構造を分析すると、その主要な要素は、「商圏」と「投資」となる。その2本柱の一つに部分的にせよ規制の影響が及ぶようなことがあれば、どうなるのか。
もし、今回のシャドーバンキング規制問題がとりあえずわが国に無関係であったとしても、その規制によって投資銀行、ヘッジファンドなどの投機行動が封じ込められると、国際商品市場において、わが国の総合商社などの動きが相対的に目立ってくる可能性もある。その際、モグラたたき的な規制拡大が及ぶ懸念はないと言い切れるのか。これは極めて憂慮すべき事態である。
経済危機や金融危機の議論は、後追いだけにとどまらず将来を展望してなされるべきである。それが不足している現状だが、シャドーバンキング規制論議の存在を、決して忘れてはならない。カンヌサミットまで残すところ1カ月である。
(シニアライター:浪川 攻 =週刊東洋経済2011年10月15日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
photo:Presidencia de la Nacion Argentina CC2.0 BY-SA
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