中国バブルの崩壊は、これからが本番だ 中国市場の「危ない構造」が悲劇を招いている

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すでに東洋経済オンラインでも触れてきたが、2014年の銅価格の急落事件や青島の融資詐欺事件などでわかるように、中国のマーケットでは、規則やルールが如何に整備されていないかがわかる。

だが、前回の記事で触れたように、レアメタルのマーケットでも似たようなことが結局起きている。

FYME会員数23万人の中の7割は個人会員であり、レアメタルの何たるかも知らずに投資している人が多い。

本来ならば相場が弱ければ気配値が下がるべきなのだが、売買ができないために、FYME価格は高止まりしたままだ。実質的な取引停止状態からFYMEに対する信用は急激に低下、レアメタル全般に対する不安が市場全体に広がっている。

今のFYMEの総在庫額は約7340億円という規模にまで膨らんでいる。中国以外の世界では、FYMEを無視して取引がなされるかもしれないが、結局は莫大な在庫が市場を押し下げる心理要因として働くことは言を待たない。

すでにレアアースのバブルは崩壊、世界のレアアース企業である米モリコープは経営破綻した。

中国は国家ぐるみで価格を操作し、業界を投機市場にしてしまったといっても過言ではない。

今や、混乱は、レアアースだけでなく、インジウム市場やタングステンといったレアメタル市場にまで広がりつつある。次はこのレアメタル関連の中から、破たんに追い込まれる企業が出てくることは必定である。

中村 繁夫 アドバンストマテリアルジャパン社長

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なかむら しげお / Shigeo Nakamura

レアメタル(希少金属)の専門商社「アドバンスト・マテリアル・ジャパン代表取締役社長。中堅商社・蝶理(現東レグループ)でレアメタルの輸入買い付けを30年間担当。2004年に日本初のレアメタル専門商社を設立。著書に『レアメタルハンター・中村繁夫のあなたの仕事を成功に導く「山師の兵法AtoZ」』(ウェッジ)、『レアメタル・パニック』(光文社ペーパーバックス)、『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)などがある。

 

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