平壌国際空港が「普通の空港」になった! 7月に開業した新ターミナルの様子とは?

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免税店をはじめ売店が連なっている

ただ、平壌空港を発着する航空路線はまだ少ない。中国の北京や瀋陽、ロシアのウラジオストクなど1日数便というのが現状だ。海外からも中国国際航空が乗り入れているのみで、あとはすべて北朝鮮の高麗航空が就航しているのみ。国際的な経済制裁は続いており、今後、同空港を利用する航空会社が増えるかどうかは未知数だ。

高麗航空が「高麗タクシー」を設立

こちらが高麗タクシー

一方で、高麗航空が「高麗タクシー」というタクシー会社を設立・運営もしていることがわかった。空港からは今後、平壌中心部までの高速道路や鉄道の開設も計画されているという。タクシーの場合、平壌市内では現在、中国資本が入った2社がタクシーを運行しているが、これに地場資本の高麗航空がタクシー業を始めたことになる。

車種は北朝鮮国産の平和(ピョンファ)自動車の車だが、「日本の高級車のよう。運転席の脇にはテレビ画面もあり、ミュージックビデオも流されていた」(前出の在日コリアン)。料金は1キロメートル当たり49ウォンで、日本円だと50円程度。基本料金はない。支払いは、いわゆる公定レートで換算された金額をドルで支払う。前方には運転手の名前と携帯電話が明示され 「営業に力を入れている感じがうかがえた。運転手は携帯電話のイヤホンを耳に付け、いつでも呼び出しに対応できるようにしていた」(同)。

日本でも普通に見られるような経済活動が北朝鮮でも確実に動き始めている。まだまだ「経済難」というイメージが強く、実際に経済水準も他国と比べると相対的に高くはない。だが、すべて「経済難だからインフラ拡充など経済建設ができない」という視点で見ることができないのが、最近の北朝鮮経済の現実でもある。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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