「40歳以上の転職は難しい」は果たして本当か 今の会社でいつまで働き続けますか

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筆者自身も、大きな組織の中で大きな仕事をしている「金額の大きさ」よりも、目の前の中小企業のお客様や企業家の方に「ありがとう、先生に聞いてよかった、また頑張ってみる」と言われるほうの喜びが何倍も大きいと感じたことを覚えています。

家の仕事でも同じ

3つの観点はどんな仕事にもあてはまります。

たとえば家庭で主婦/主夫をしている方。①の報酬は生活の糧をパートナーが稼いでくる、という意味で得られているとします。②はご本人の心がけ次第ですが、年数を重ねてくるとほとんどの方がプロ並み、ないしは慣れで大抵のことができるようになり、通常、外でする仕事に比べると「成長を日々実感する」ことは難しくなってきます。

とすれば、③の気持ちが満たされるようにするには、周りの家族がもっと主婦・主夫の方たちに感謝をしなければ難しいものです。家での仕事も当たり前、ではありません。たとえば、家の中で家事を分担してくれるパートナーが倒れたときの大変さを思えば、だれもが思い当たることではないでしょうか。

女性の働き方が話題となることの多い昨今ですが、男性の働き方を固定化して考える必要はありません。経験や能力を評価し、感謝して自分を必要としてくれる人のところで働くということは、男女共通であり、年齢を重ねてくるにつれて働くことの喜びとして得られるものだと思います。

「転職するチャンスを探ったこともない」という方は、一度、自分にどのような可能性があるのか、人材紹介会社に問い合わせてみるのもひとつでしょう。もちろん最初は、今の会社にい続けること前提でもかまいません。ただ、選択肢を知っておくことは決してマイナスになることはないはずです。

今の職場にずっといるのも選択肢、転職やIターンといった働く場所を変えて仕事から得られる喜びについて再度見直してみるのも選択肢です。まだやっと「折り返し地点」に近づいた私たちの世代だからこそ、今一度、今後半分の仕事人生で働く意味、働く場所を考える自由は誰にでも平等に存在します。

小紫 恵美子 経営コンサルタント(中小企業診断士)

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こむらさき えみこ / Komurasaki Emiko

経営コンサルタント(中小企業診断士)。東京大学卒業後、1995年NTT入社。主に法人営業に従事し、在職中に中小企業診断士の資格を取得。結婚、退職後に出産・育児の10年の「ブランク」を経て、中小企業診断士事務所OfficeCOMを開業。女性経営者を中心とした中小企業のコンサルのほか、セミナー・研修講師、執筆活動などを行う。

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