【産業天気図・外食】景気回復、不採算店の合理化も寄与し増益。大手中心にM&Aも進む

上場外食企業の2006年度業績は、05年度に引き続いて堅調に推移する見通しだ。
 04年度まではBSE問題や景気の低迷を背景に減益だったが、05年度は持ち直している。吉野家ディー・アンド・シー<9861.東証>に代表される牛肉関連で対策が進み、大きく利益を回復させたほか、ファストフード、ファミレス、居酒屋も増益に転じる模様だ。外食全体では、約3割の営業増益となる。06年度も全体で2割弱の営業増益が見込まれる。業態別にみると、景気回復から中・高価格帯がメインのレストラン(ファミレスやラーメン等大衆食を除く)と、BSE問題から利益水準が低くなっていた焼き肉が約3割の増益に。その他の業種もおしなべて増益の見込みだ。
 主力業態のどんぶり業界も元気を取り戻している。牛丼最大手の吉野家は、米国産牛肉の輸入解禁がなくても豚丼や定食メニューの好調で05年度は営業黒字に浮上する。06年度も増収増益を維持しそうだ。中国産牛肉を使う松屋フーズ<9887.東証>も大幅増益となる。ゼンショー<7550.東証>は豪州産牛肉を使う「すき家」が好調。ゼンショー、松屋フーズともに06年度も増益を維持しそうだ。米国産牛肉の解禁は不透明だが、実現すれば牛肉価格全体が低下して松屋フーズやゼンショーにも追い風となる。
 増益の要因としては既存店の落ち込み幅減少や、不採算店舗のリストラ・減損処理による利益率改善が挙げられるが、加えて、大手を中心に積極的にM&Aが進められていることの影響も大きい。事業買収を通じて利益拡大を進めている、というわけだ。主な案件としては、外食最大手級のすかいらーく<8180.東証>は05年10月、小僧寿し本部<9973.ジャスダック>に資本参加。小僧寿しの店舗網を活用し、出遅れていた「中食」への本格展開を模索する。CEOに復帰した横川竟元会長は「地方の外食チェーンを含めて積極的なM&Aを展開したい」との方針を示している。ロイヤルホールディングス<8179.東証>も05年8月、天丼のテンコーポレーション<2727.ジャスダック>に資本参加。天丼を始めとして多業態展開を急いでいる。
 ゼンショーもM&Aで業容を拡大。ココスジャパン<9943.ジャスダック>を始めとしてハンバーガーのウェンディーズ<非上場>、ステーキのビッグボーイ<非上場>などを傘下に納めていたが、05年8月にはなか卯<7627.ジャスダック>を子会社化した。グループで複数業態を展開することで、たとえばすき家の近隣に牛丼他社が出店した場合は他業態に転換することも可能になった。
 居酒屋業界でも、積極買収で知られるコロワイド<7616.東証>が05年5月に焼き肉のがんこ炎<3340.ジャスダック>、05年10月に回転すしのアトム<7412.東証>を相次いで買収している。コロワイドは優先株を発行するなど引き続きM&Aに向けた積極策を続けている。
【丸山尚文記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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