ダイハツ新社長「トヨタと組みながら戦っていく」 不正防止策受けた開発計画を年内にも策定

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――仕入れ先や販売店との関係性について、不正やその後の対応で信頼を失いました。

反省としては、販売店や部品メーカーとコミュニケーションを図ってはいるが遅かったり、タイミングが十分ではなかったりしていた。今はこの部分で非常に気を遣っている。正確に、いいタイミングで伝えないと、鮮度の落ちた情報を後々連絡をしてもまったく意味がない。

ダイハツの工場がある滋賀県竜王町。一時期、国内での車両生産が止まったことで地域経済も深刻な打撃を受けた(記者撮影)

直接関わる1次取引先、いわゆるティア1が600社ある。さらにその先にはティア2、ティア3がある。漏れないようにきっちりやっているが、コンタクト回数が少ないと不満もたまりやすい。できるだけ、あえてお声がけするようにしている。

販売店や仕入れ先には従来、年2回、年度方針説明と中間報告をしているがこれだけでは足りないと思う。さらに倍か、デジタル対応も含めて、頻度を上げて情報提供をタイムリーに行っていきたい。話す回数を増やすこと、お互いの顔を知り合うこと、信頼をつなぐことがコミュニケーションの根幹だ。

海外でも批判を受けたが、不正前の状況に戻りつつある

――インドネシアやマレーシアを軸に進めてきた海外戦略にも不正の影響は出ていますか。

ダイハツはざっくり200万台程度の製造販売規模がある。ブランドではダイハツ、トヨタ、さらにマレーシア向けであるプロドゥアの3つを展開している。当初は海外でも批判をいただき、不安も与えたが、現在はほぼほぼ不正前の状況に生産も含めてなりつつある。

インドネシアやマレーシアはダイハツとトヨタが50年前から開拓してきた。市場も保有台数も拡大してきたが、いまは中国や韓国メーカーも進出を狙っており競争は厳しくなっている。

――開発日程にも影響が出ているのでしょうか。

一番悩んでいて、難しいところだ。今ちゃんと答えられる内容はない。これまで準備してきたモデルと生産ラインの計画がある。ただ、不正の再発防止策で開発リードタイムを延ばしたので成り立っていない。何かを削る、何かをやめることになる。各地域の事業体とも話していくが、みなさん本当に困るという声が届いている。ここは優先順位を決めていきたい。

海外でも排出ガスなど環境関連の規制が厳しくなっていく。それに対応していかないと生産工場が止まる、仕入れ先が止まる、販売が止まることになってしまう。困っているところはトヨタの力を借りながら、最適解を年内に策定していきたい。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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