ダイハツ新社長「トヨタと組みながら戦っていく」 不正防止策受けた開発計画を年内にも策定

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いのうえ・まさひろ/1963年9月生まれ。1987年同志社大学経済学部卒業、トヨタ自動車入社。2007年米州営業部室長、2011年ブラジルトヨタ副社長、2014年トヨタ自動車第2トヨタ企画部室長などを経て、2019年に中南米本部長。2024年2月より現職(写真:風間仁一郎)

――ダイハツはよく良品廉価と言いますが、トヨタとの違い、強みをどのように認識していますか。

簡単に言うと、ダイハツは日本の軽自動車から「ライズ」やインドネシア向けの「ヤリスクロス」といったBセグメントのモデルを造っている。トヨタは(小型の)Bセグメントの車を開発する場合、基本的には(中型の)Cセグメントの車種から部品転用をする。安いところから上位のセグメントを造るのか、上のセグメントから小型セグメントの車を造るのかがダイハツとトヨタの違いだ。

――ものづくりのアプローチも異なるということでしょうか。

例えば、パワーステアリングをトヨタとダイハツがつくるとなると、ダイハツは軽用から強化して小型車用を作り込む。トヨタは逆だ。そうするとできあがった製品はまったく違うものになる。1つの部品が1000円、2000円の差でも複数の部品を積み上げていけば、台当たり2万円違う。2万円違えば、100万台で200億円、ダイハツは200万台つくっているので400億円くらい収益インパクトは異なってくる。ここにダイハツの強みがある。

超短期開発を諦めるのはやむを得ない

――認証不正では短期開発が原因として指摘されました。しかし、これがダイハツの強みとも言えます。短期開発を見直し、競争力をどのように維持していきますか。

2011年に発売した「ミライース」で実現した短期開発は本当にサクセスモデルになった。その強みは失ってはいけない。ただ、(2010年代半ば以降は)徐々にモデル数が増えて、小型車領域の開発生産も増えて、仕向先の国も増えていった。

開発、調達、認証、製造と各工程があるが、進捗が遅れてくると試作と認証にしわ寄せが発生し、負荷がかかってしまった。このため、対策として開発期間を1.4倍にすると決めた。法規認証部門の人員は6倍にする。他の部署からの増強も含めて順調に推移している。

ミライースのような短期開発にすぐ戻すことはできないし、再発防止のためには超短期開発を諦めるのはやむを得ない。やることは良品廉価の車を造ることだ。軽のいいものづくりをしっかりやって、部品単位で競争力が出れば、車全体で競争力を持たせることができる。ここを見失わずにやっていくことが最も大事で、新興国でストライクゾーンにボールを投げられる決め手になる。

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