「会って0秒」で相手の心の扉を開けられるカギ 元TBSアナウンサーが実践するコミュ力アップ術

拡大
縮小

たしかに、私は人に対する好奇心が旺盛なほうだと思います。でも、だからといって、誰に対しても最初から100%興味を持てるかというと、そんな才能はありません。実際には、「話を聞くうちに、好奇心が湧いてくる」という感覚です。

つまり、好奇心も意識次第で高められるということ。

事前情報がほとんどない初対面の相手であったとしても、「この人のどんなところに自分は興味を持てるだろうか?」と好奇心発動モードをオンにすれば、きっと対話は徐々に温まってくるはずです。

「会って0秒」の挨拶と笑顔で、相手との「間合い」も取れる

「よい対話を始める3原則」として紹介した「挨拶・笑顔・好奇心」には、相手の心を一瞬で開いて対話の火種を着火させる効果があることをお伝えしました。

実はこのうちの挨拶と笑顔には、もう一つの重要な目的があります。それは、「相手との間合いを取る」という効果です。

アタマがよくなる「対話力」 相手がつい教えたくなる聞き方・話し方
『アタマがよくなる「対話力」 相手がつい教えたくなる聞き方・話し方』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ニコッと笑顔で「おはようございます!」と挨拶をした直後、私は相手の反応をすかさずチェックしています。

即座に笑顔と挨拶を返してくれる相手なら、「おっ、今日は最初からスムーズに話せそうだな」。

ちょっと硬い表情で挨拶が返ってきたら、「もしかしたら緊張しているのかな。ゆっくりアイスブレイクしながら話を進めよう」。

ボソボソッと小さな声で挨拶を返してきたら、「体調がよくないのかもしれない」。

滅多にはいませんが、ほとんど目を合わせないような極端に渋い反応を返す相手には、「警戒しているかな」「私にネガティブな印象を持っているかも?」と、心の中でひそかにアラートを鳴らします。

このように、挨拶と笑顔を自分から投げかけた後の反応によって、後の対話につながる「心構え」が整います。そのときの相手の心身の状態や、自分との心理的な距離感を推し測るための優れた材料。「挨拶と笑顔」にはそんな役割もあるのです。

国山 ハセン 映像プロデューサー、元TBSアナウンサー
くにやま・はせん / Hasen Kuniyama

1991年生まれ、東京都出身。中央大学商学部卒業。2013年4月、TBSテレビに入社。『アッコにおまかせ!』『王様のブランチ』『ひるおび』などの情報バラエティ番組のアシスタントや進行役、朝の情報ワイドショー『グッとラック』のメインMC(司会)などを務めたのち、2021年8月からは報道番組『news23』のキャスターを務めた。数々の現場取材を経て2023年1月に独立し、ビジネス映像メディア「PIVOT」に参画。現在は、番組プロデューサー兼MCとして、英語や資産運用、教育など、ビジネスパーソンのスキル向上に役立つ「学び」に特化したコンテンツを、アプリやYouTube上で日々発信している。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT