「マッチングアプリ婚」を後押しする、陰の立役者 ペアーズの「質」は、どのように作り出されるか

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「100人とマッチするには、その何倍もの数の『いいね』を送っていて、時間も労力も、ストレスもかかってしまいます。結果的に1人とお付き合いするわけで、1人に『いいね』を送って、その人と交際、さらには結婚できるなら、それが最高のユーザー体験、というわけです。

マッチしたカップルが『1つ』増えることの価値にこだわって、ペアーズはAI開発に取り組んでいきたい、と考えています」

進まない状況を打開する「アシスト」

しかしとにかく奥手な現代の日本人。4割の男女にデート経験がなく、相手が前向きかわからず、デートに誘っていいかどうか二の足を踏むという。マッチしても関係が進まない状況を打開するための取り組みもある。

デートの意向(会ってみたい、通話してみたい、誘われたら会ってみたい)を選んでおき、両者が一致しているときだけ表示される「おさそいアシスト」機能が実装されている。

いうなれば、学校の教室で2人の間を取り持つ、ちょっとお節介なクラスメイトみたいな役割も、マッチングアプリが担っているのだ。

他方、AIは、不正利用や安全対策にも活用されており、目的外の利用者は高い精度で発見し、排除できるという。また、安全に利用するためのハンドブックを制作し、自治体や大学、消費者センターを通じて提供している。

ペアーズが取り組むマッチングAIと質的向上を指す「マチパ」の存在は、AIの介在がない過去の出会いに不安を感じるとともに、「マチパ」を追求するアプリを味方につけられる世代にうらやましさを感じるのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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