アルコール業界をいら立たせる2つの「警告文」 酒はタバコと同じ運命をたどることになるのか

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アメリカのアラスカ州議会では先日、アルコールを販売する事業者に発がんリスクを警告するシンボルの掲示を義務付ける法案に関して委員会公聴会が開かれた。

すでにアルコール飲料の販売を厳しく規制しているノルウェーも、発がんリスク警告ラベルを導入する法案を策定中だ。アイルランドの取り組みを強い関心を持って見守ってきたノルウェー保健・ケアサービス省のオーレ・ヘンリック・クラット・ビョークホルト副大臣はインタビューで「似たようなことを実施する可能性が高いと思う」と述べた。

「屋内禁煙」もアイルランドから始まった

アイルランドはこれまでも積極的な公衆衛生政策の策定で先駆的な役割を果たしてきた。2004年には世界で初めてバーやレストランを含む屋内の職場での喫煙を禁止。この政策はその後、70カ国以上で採用されてきた。

アルコール飲料に対する発がんリスク表示の義務化も、飲料品のパッケージのあり方に同様の変化をもたらすきっかけとなるかもしれない。アルコール飲料の容器が、たとえ少量であっても飲酒には危険性があることを多くの人に知らせる手段になるということだ。

飲酒とがんの関連性は十分に立証されている。1988年に世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、アルコールには発がん性があると結論づけた。乳がん、肝臓がん、大腸がん、食道がんも含め、以来数十年にわたる研究でその結論は強まる一方となっている。昨年11月、WHOとIARCは共同声明で「がんに関して安全なアルコール摂取量というものはない」と宣言した。

それにもかかわらず、アルコールとがんの関係はあまり知られていない。最近実施されたアメリカの全国調査では、飲酒ががんのリスクを高めることを認識しているアメリカ人はおよそ3人に1人だった。

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