2浪早大「街歩くな」親がひた隠しにした彼の失敗 浪人してよかった一方、唯一後悔したことも

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「大隈講堂の威容や、誰でも受け入れることを、『門戸開放の門』という門柱がない正門で表現した自由な考え方が魅力的だと思いました。自分でも、河合塾で早稲田のことをいろいろと調べていました。

OBを見ても、タモリさん、久米宏さん、デーモン小暮さん、福澤朗さんと、大学の校風である”自由”を体現している方が多くて、小中学校時代の自由な学校環境に対するいい記憶や、高校の環境との対比もあってか、自由なこの環境に入りたいと強く思いましたね。浪人を始めるにあたって、初めて自分の意思で志望校を設定できました」

それから原さんは、真面目に1年間通って、朝から晩まで「めちゃくちゃ勉強した」と語ります。その努力の成果もあって、秋ごろの模試の偏差値は62程度と、前年度より10ほど伸ばしました。早稲田大学の夜間学部では、D判定も出るようになったようです。

「1浪する際に、父親に早稲田に行きたいと言いました。そうしたら去年に続いてまた『東京には大学が3つある。東大・慶応・早稲田だ』と言ったんです。私には、去年父が言った京都大学、同志社大学、立命館大学と合わせて6つしか受験できる大学がなかったんです (笑)」

この年の彼は父親の意向もあり、早稲田大学5学部に加えて同志社3学部、立命館4学部を受けましたが、またしても全滅に終わってしまいました。

「街を出歩かないでほしい」と言われる

受験した12学部すべてに落ちてしまった原さん。大学には行かなければならないと思っていたために2浪を決意するものの、この年の失敗はさすがに精神的に堪えたようです。

「親が自宅の店に来られるお客さんから『息子さん、浪人してたよね? どこに行ったの?』とよく進路を聞かれていたそうですが、そのたびに言葉を濁していたようです。

親にも『(日中は)街を出歩かないで』と言われていたくらいです。ただ、『将来必要だし、気分転換にもなるから』とも言われて、2浪目の春には自動車免許の取得には行かせてもらいましたね」

親のためにもこの年こそ決めないといけない。決意を新たに落ちた理由を考え直したところ、「受かる状態がわかっていなかった」という結論に至ります。

「1浪目は勉強もしましたし、成績も伸びました。でも、一向に自信は沸かなかったんです。現役のときにも合格したことがなかったので、受かり方が全然わからないまま挑んでしまったんだなと思いました。

だから、この年はやり方を変えたんです。自分の弱点を分析して、どのレベルまで上げないと早稲田に行けないのかをとても考えました。それまで『人気がある先生だから』という理由だけで授業を選んで受けていたのですが、自分の弱点を補強するための先生を探して、選んで受講しました」

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