菅義偉氏「派閥問題」で沈む今の自民党に思うこと 完全無派閥の前首相が国民の自民党離れに危機感

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塩田:2012年の夏は民主党政権で、野田佳彦首相が6月15日に消費税増税について民主党・自民党・公明党の3党合意に踏み切り、26日に衆議院で増税法案を可決させました。その後、参議院での採決を前に、8月8日に野田首相は当時の谷垣禎一自民党総裁と会談し、そこで「近いうちに国民の信を問う」と述べました。

:その年の8月、共同通信の世論調査が出たんです。今でも鮮明に記憶していますが、安倍さんは本命と言われた石破茂さん(後に自民党幹事長)、石原伸晃さん(当時、幹事長)に次いで、あまり差のない3番手でした。その数字を見て、安倍さんが総裁選に出れば、戦える、勝てる、と思いました。それで、そこから自信を持って安倍さんに出馬を勧め、口説き落としたのが8月15日でした。

塩田:安倍政権の取り組みについて、政権発足時の株価の話が出ましたが、日経平均株価の8300円割れから11年8カ月余りが過ぎた今年の2月22日、1989年12月の記録を34年ぶりに更新する史上最高値が出て、その後、終値で4万円の大台も突破しました。現在の株高の要因については、いろいろな見解がありますが、長期的に見て、12年前から取り組んできたアベノミクスの成果という面も大きいとお考えですか。

:もちろん私はそう思っています。アベノミクスについては、いろいろな意見がありますが、デフレから脱却する、雇用を生み出すということに、安倍総理は自信を持って政策を進め、結果を出したと思いますし、私も全面でバックアップさせてもらいました。

2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、日経平均株価は2015年12月に2万円を超え、2017年6月以後はずっと2万円前後で推移するようになりました。さらに、私が2020年9月に政権を担って、アベノミクスを引き継いで、株価は3万円を超えました。

〈編集部・註 日経平均株価の終値は安倍内閣時代の2015年12月1日に2万0012円、菅内閣時代の2021年9月8日に3万0181円を記録した〉

当時、後のウクライナ侵攻は予想できなかった

塩田:安倍政権の外交・安全保障で、一つ知りたいのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との関係です。菅内閣が終わった後、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まりましたが、安倍内閣時代、安倍元首相は、おそらく将来の北方領土問題の解決を視野に入れて、プーチン大統領との接触・折衝に努力していたと思います。プーチン大統領とのやり取りの中で、後のウクライナ侵攻という展開を予感・予想するようなことはありませんでしたか。

:当時は全く考えられなかったですね。いきなりですから。世界の国々で、そこまで正確に予測したところはなかったんじゃないでしょうか。侵攻開始から2年が過ぎました。私が辞めた後に起こったことですけど、私の政権のときまでは、そんな雰囲気は全くなかったですね。

結局、世の中には、そういう国があるということですね。ですから、平和安全法制を作っておいて、日本は本当に良かったと思います。

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