ビットコインが「こんなに爆上がり」している背景 「使わない」暗号資産を大金で買う人が増えた訳

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この点については、暗号資産も通常の通貨(たとえばドルや円)も同じなのだが、両者には決定的な違いがある

ドルや円には実体経済が背景にあって、実際の商品やサービスの取引で使用される。そのため、外国為替市場には、さまざまなプレイヤーが存在する。

海外旅行のためにドルを買う日本人旅行客。

人気スキー場に近い北海道の土地を買うために、円を買う外国の会社。

その中には、値上がり期待でドル資産を購入する個人投資家もいる。

しかし、暗号資産の市場には、値上がりを期待して購入する人がほとんどで、実際の取引に使用する人は少ない。この事実が、値動きに大きな影響を与えている。

架空の「東洋経済コイン」で考えるとよくわかる

ここでは、簡単な例をあげてみよう。100枚しか発行されていない架空の暗号資産トーケイコイン(東洋経済コイン)を考えてみる。

このトーケイコインに投資しようと思ったあなたは、何枚買うだろうか?

1枚だろうか? 10枚だろうか?

おそらく、枚数にはこだわりはないはずだ。きっとこうつぶやくだろう。

「とりあえず〇〇円買ってみよう」

何枚ではなく、いくら分買うかを考えるのが一般的だ。

今、世の中に、1万円ならこのコインに投資してみてもいいかなと思った人が10人しかいないとする。このときのコインの全体(総発行量100枚分)の総額は10万円(1万円×10人)。つまり1枚あたり、1000円(10万円÷100枚)で取引されていることになる。

10人が1000円のコインを10枚ずつ保有している状況だ。

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