仕事できる人が知る「数字の使い方」真似したい3選 元ソフトバンクのマーケターが孫正義から学んだこと

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そもそもプロの指導者が少ないこともあって、なかなかニーズが読めませんでした。それで数少ないコーチの知り合いに相談したところ、その人が周囲のコーチ陣に聞いてくれることになりました。そこで得られた意見は、「自分の周りはみんな使うって言っていたよ」というものでした。

本来ならば、ここで立ち止まるべきだったのでしょう。しかし、その知り合いがとても信頼の置ける人だったこと。そして仕事では厳しい人であったこともあり、その人たちから聞き取った話をもとに、事業を組み立てることにしました。

失敗から得た教訓は「数字の裏付け」の重要性

さて、実際に起業をしてどうだったかというと、なんと蓋を開けてみれば、実際のニーズは想定の10分の1以下という惨憺たるものでした。

『仕事は1枚の表にまとめなさい。』(日経BP)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

自分の練習の様子を見てほしい利用者はたくさんいるのに、見てくれるコーチがほとんどいない。

結局、事業として成り立たず、会社はたたむしかありませんでした。

どんなに緻密に考えていても、綿密な準備を進めていても、たった1つ、適当な数字を許容しただけで、屋台骨が傾いてしまう。

「ネットで見た」とか「過去の経験ではこうだった」とか「自分の周りの人はこう言っている」などは、裏付けとしては意味をなさず、あくまで参考値でしかありません。

そうしたものを鵜呑みにせず、確実な数字の裏付けをとっていくことが、何より重要なことなのです。

池田 昌人 ソフトバンクCSR本部長兼ESG推進室長、子ども未来支援財団専務理事

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いけだ まさと

1974年7月12日神奈川県生まれ。法政大学経営学部卒。東日本大震災発災時に社内有志で立ち上げた震災支援プロジェクトを経て、東日本大震災復興支援財団(現:子ども未来支援財団)の企画・運営に携わる。企業の社会貢献活動を推進するため、CSR部門の責任者に就任し、東北復興を精力的に支援。ICTを活用した社会課題の解決も推進し、「つながる募金」や、人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育「Pepper 社会貢献プログラム」を全国的に展開。昨今は、地方創生・地域課題の解決に取り組む「地域CSR部門」を立ち上げ、日本最大級のCSR組織体制を構築。またSB新型コロナウイルス検査センターの代表取締役社長も務める。

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