ダメ上司ほど「報連相しない新人」に悩まされる訳 新入社員を迎えるなら知っておきたい「法則」

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まとめると、次のようになります。

情報 (主たるメッセージ)
数字 (根拠、エビデンス、具体化)
情報 (補足、余談、相談など)

「サンドイッチの法則」に合わせて先の例を修正すると、

「資料作成に注力した1日でした。具体的には、所要時間としておよそ5時間。それぞれの進捗率はA案件が50%でB案件は90%。A案件は2日後、B案件は明日の午前中に完了予定です。なお、A案件については少し悩んでいる箇所があるので、もし可能でしたらいまここでご相談したいのですがいかがでしょうか」

となります。先ほどよりもはるかに良くなったと感じるはずです。

このように、数字を情報でサンドイッチする、サンドイッチの法則を活用することでビジネスにおけるコミュニケーションの質が劇的に改善されます

新入社員の戦力化は、上司の指導力で決まる

重要なのはこれを徹底させることです。できれば4月など初期の段階で訓練させることをおすすめします。

もしこの型でのコミュニケーションになっていなければ、先輩や上司は「サンドイッチになっていないよ」と愛を込めて指導をしてあげてください。逆に適切なコミュニケーションができたときは(恥ずかしがらずに)ほめてあげてください。

そんなちょっとしたことで意欲が湧いたり、明日も会社に来て頑張ってみようと思えたり、この先輩からもっと学んでみたいと思うものです。

新入社員が戦力になるかどうかは、能力や時代背景で決まるものではありません。先輩や上司の指導力で決まります。そして、仕事ができる人ほど指導力が高いものです。

新入社員の戦力化は人材育成の専門家でも難しいと感じるテーマです。指導を任された方の「自分の仕事で精一杯。正直、勘弁してほしい」という本音は、痛いほどよくわかります。

とはいえ、誰しも新人だった時代があり、その時には先輩社員にさまざまな指導をしていただいたはずです。しかし、いざ自分がその立場になると、途端に面倒に思ったり、つい逃げてしまったりしてしまいます。

正論は読者に嫌われることを覚悟で申し上げますが、それは少しばかり勝手がすぎるように思います。恩送りという言葉がありますが、できることなら誰かからいただいたものは誰かに渡すことができる大人でいたいものです。

先輩社員の皆様、頑張りましょう。私も頑張ります。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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