JT総会で株主が問うた「ロシア事業継続」の難題 ロシアとウクライナに工場を持ち事業を継続中

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――ロシア事業は現状のままやっていけるのか、今後の方針は?

寺畠社長 今はビジネスを継続することが可能な状況にある。来年、再来年以降も確実に継続できるかというと100%できるとは言えないが、継続すべく努力をしている。

2018年から代表を務める寺畠正道社長。ロシア事業存続に加え、加熱式タバコの巻き返しなど課題山積だ(撮影:今井康一)

われわれもロシアに4000人を超える社員がいる。社員、顧客、株主、社会からの要請、このバランスをとりながら、どのような形でロシア事業を継続するのか、最悪、切り離すかを検討していく。

――ロシア事業を継続していることで、欧州等で不買運動などは起きていないのか?

加藤信也・JTI(海外たばこ事業の子会社)副CEO 現時点で不買運動等が起きているということはない。しかしながら、不買運動も含めて支障をきたす可能性も排除できない。グループ全体としてロシア事業の継続が大きなネガティブな影響を与えることがあれば、それを考慮して継続の可否を判断する。

寺畠社長 ウクライナでJTIが「戦争支援をしている企業」とリスト化されたことを認識している。だが、同時にウクライナでもビジネスを継続し、1000人以上雇用もしている。工場を持ち経済にも貢献している。

先日、大統領から「今後の復興を考えると、ウクライナでこれだけ投資をかけているJTグループのように、日本企業にも支援をしてほしい」と発言いただいた。ウクライナでも一定の評価をいただいていることは付け加えておきたい。

――ロシアから撤退した場合の損失額を教えてほしい。

中野恵副社長 現時点では事業を継続しており、撤退について決定したものはない。ミスリードを避けるため、詳細な財務影響についての説明は控えたい。

モラル、雇用、利益、どう考えるのか

株主が質問を重ねるのは当然だ。ロシアは利益の2割を占める重要市場で撤退は大きな損失になる。また、JTは高配当銘柄としても人気がある。配当額の減少も考えられるため、投資判断に直結する。

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