一流企業勤務の彼が「華道の師範」転身の納得理由 「リスキリング」を考えている人に教えたい選択のコツ

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そんな彼が、続けてこのようなことを言っていました。

「自分はこれまで必死に働いてきたけど、自分の会社人生を振り返ってみたら何も残っていなかった。それなりに一生懸命やってきたつもりだったけど、いざ定年を迎える時期に差し掛かったとき、結局、私にとっての仕事は自分の生きがいではなかったことに気づいたんだよ」

そんな彼が、いまやっと生きがいを見つけた。それが華道です。

「華道×AI」でさらなるスキル向上につながるはず

彼は時々、私のフリースクールにも教えに来てくれているのですが、彼の表情を見ているといつも「イキイキしているな」と感じます。

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なぜ、彼は一流企業を辞めてまで華道に全力投球しているのか?

彼のお母さんがもともと小原流の師範で、幼少の頃から華道に親しんでいたからだそうです。社会人になってからも、お花が好きで華道を好きで続けていたといい、定年退職を待たず華道を自分の生きがいにしているというわけです。

そんな彼に、私が提案しようと思っているのは、「華道×AI」というもの。

これこそがリスキリングの本質であり、AIというテクノロジーをフル活用しつつ、彼の好奇心を刺激しながらさらなる知識の獲得とスキルの向上へとつながっていくに違いありません。

竹内 薫 理学博士/サイエンス作家

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たけうち かおる / Kaoru Takeuchi

理学博士。サイエンス作家。YES International School 校長。1960 年東京生まれ。東京大学教養学部、理学部卒業、マギル大学大学院博士課程修了。科学ジャンルで発信を続け、小説、エッセイ、翻訳などを中心に200 冊あまりの著作物を発刊。主な著書に『99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方』(光文社新書)、『教養バカ 〜わかりやすく説明できる人だけが生き残る』 (SB 新書)、『素数はなぜ人を惹きつけるのか』 ( 朝日新書) など多数。訳書に『WHAT IS LIFE ? 生命とは何か』(ダイヤモンド社)、『超圧縮 地球生物全史』(ダイヤモンド社)がある。

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