北欧のEV「ボルボEX30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

✎ 1〜 ✎ 78 ✎ 79 ✎ 80 ✎ 最新
拡大
縮小

ツインモーター・パフォーマンスは、大きく2つのモードを持つ。ひとつは必要に応じて前輪が駆動される「パートタイム4WD」モードで、もうひとつはつねに前後輪に駆動力がかかっている「パフォーマンス4WD」モード。

大トルクと巧みな駆動制御が見頃な走りを見せてくれた(写真:Volvo Cars)
大トルクと巧みな駆動制御が見事な走りを見せてくれた(写真:Volvo Cars)

車両の挙動を安定させるのが目的のパートタイム4WDモードでは、予想したとおり、動きが乱れない。それでいて、スラロームでは立ち上がりからの加速が、後輪駆動モデルよりあきらかに速い。

乗りやすく・楽しく・疲れない

一方のパフォーマンスモードは、慣れないとスリルもある。前輪が車両を強めに引っ張っていくので、後輪駆動モードと同じつもりでコーンを通過して曲がろうとすると、自分の考えより車両が先へと行ってしまうのだ。もっとも、慣れればこちらのほうが楽しい。

直進状態での加速は、ツインモーターのパフォーマンスモードが目を見張るほど速い。さすが543Nmものトルクをぱっと出すモーターだけある。「ここ雪の上だよね?」と一瞬、疑問が頭をよぎるほど、矢のように安定した加速を見せるのだ。

ツインモーターならこんな走りもできてしまう(写真:Volvo Cars)
ツインモーターならこんな走りもできてしまう(写真:Volvo Cars)

そのあと、思いっきりブレーキングをしてすぐハンドルを切って、目の前に設置された障害物(これをボルボでは路上に飛び出してきたトナカイにたとえていた)を避けるテストでは、車載コンピューターが加速とブレーキをコントロールしているおかげで、まっすぐ進んでしまうことはなく、最終的にハンドルを切ったほうにすっと曲がっていけるのだった。

ひとことで言って、コントロール性が高い。それでいて、楽しさがある。そして、疲労感がない。ボルボのエンジニアによると、同社はスウェーデン陸軍による「雪の状態を表現する200とおりの言葉」をシェアしているとのこと。

こういうところが、自動車好きの心をくすぐり、そして「いいクルマづくり」につながると熟知しているのだ。

この記事の画像を見る(33枚)
小川 フミオ モータージャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT