「車内エンタメ」をウリにしたミニの新しい世界観 新型カントリーマンが見せた「特別な体験」

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ただし、ドライブモード(ミニでは「エクスペリエンスモード」と呼ぶ)には、通常の「スポーツ」に相当する「ゴーカート」モードがあり、たしかにアクセルペダルの踏み込みに対する反応がとても速くなるし、ステアリングの操舵感覚も同様にさらに鋭さを増す。

で、私にはこのフィーリングがとても好ましい。自分の意思どおりにクルマを走らせられるように思えるからだ。

一方「そればっかりじゃ……」というときのための、一般的な「エコ」に当たる「グリーン」モードも、なかなかよい。厚いトルク感を生かしてアクセルペダルを軽く踏んでいるとき、“適度な気持ちよい加速感”が得られるからだ。

ミニのアイコンでもある中央の円形メーターはフルデジタルになり、「ミニOS9」搭載で24cm径(筆者撮影)
ミニのアイコンでもある中央の円形メーターはフルデジタルになり、「ミニOS9」搭載で24cm径(筆者撮影)
リサイクルマテリアルの素材感を強調したインテリアはデザイン性が高い(筆者撮影)
リサイクルマテリアルの素材感を強調したインテリアはデザイン性が高い(筆者撮影)

ポルトガルの道では、この2つのモードを使いわけて走った。山岳路では、腕や足の小さな動きでクルマが機敏に動いてくれるゴーカートモード、海岸道路や高速道路ではグリーンモードで、という具合。

実は最新のミニには、ノーマルモード相当の「コア」モードなど、全部で7つものモードがある(SUVのカントリーマンだけは「トレイル」モードがあって8つ)。

走りの変化はなく、ライティングやサウンドなど、ドライバーの気分をもり立てるためのモードもあるのだが、これがなかなかおもしろい。

円形モニター下のトグルスイッチもミニの特徴のひとつで、エクスペリエンスモードもここで切り替える(写真:BMW)
円形モニター下のトグルスイッチもミニの特徴のひとつで、エクスペリエンスモードもここで切り替える(写真:BMW)

ミニ(とBMW)が見せる新たなクルマ像

まさにこの“エクスペリエンス”こそ、最新のミニの製品戦略じゃないかと私は思った。運転がそもそもエクスペリエンス(体験)なのだけれど、ミニではそれに加えて乗っている時間、ドライバーと他の乗員に特別な体験を与えようとしているからだ。

ライティングやモニターの表示によりさまざまな世界が楽しめる(写真:BMW)
ライティングやモニターの表示によりさまざまな世界が楽しめる(写真:BMW)

たとえば「ビビッド」モードは、音楽による演出でドライブ中の気分をもり立てようというもの。ストリーミングも使えて、選ぶ音楽に応じて、インテリアのライティングも変わる。

ミニ(とBMW)で感じられるのは、さまざまな方面での差異化を図っていることだ。それには走り、デザイン、走行支援システム、そして上記のような車内のエンターテイメントが含まれる。それをセリングポイントにしている。

これまでの自動車業界の動きを見ていると、BMW/ミニはたいていマーケットにおいて先手をうまく打ってきている。カントリーマンは、その象徴のようなクルマだった。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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