堀場製作所「創業家の社長候補」が担う5カ年計画 次世代車と半導体分野などで営業利益1.7倍に

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半導体の製造工程は多岐にわたるが、装置やサービスを展開できる工程を増やすことでも成長を加速させる狙いだ。

新中計ではほかにも、バイオ・医療分野での新事業創出などもうたう。計画通りに進めば、期間中にはこれまでにない速度で事業規模が拡大することになる。

弾氏も口にしたように、堀場製作所はグループの従業員を「ホリバリアン」と呼び、ファミリーの一員と見なしている。創業者の雅夫氏が残した「おもしろおかしく」を社是とし、これを実現できる環境を自社の強みと見なし追求する。

心からおもしろいと感じられる仕事に取り組む中で独創的な技術が生まれ、それが会社の強みになると考える。柔軟で風通しよくあることも重視しており、従業員同士の交流機会が多いことでも知られる。

弾氏は経営力を試される期間

現在、利益柱となっている半導体向けのマスフローコントローラーも、元は大気汚染分析関連の機械を横展開したことから始まった。独自の技術を柔軟な発想で事業化した典型例だ。

独自技術を需要に合わせてすばやく応用できるのが堀場製作所の特徴で、社風自体が成長の源泉ともいえる。事業規模が拡大するにつれて、国内外で子会社や従業員が増える。その中でもユニークな企業文化を守れるかが新中計推進のカギといえそうだ。

新中計のリーダーである弾氏にとっては、計画の実行力やグループ全体を束ねる経営力を試される期間となる。主要子会社の社長を歴任するなどほかの社員とは異なるキャリアを積み重ねていることなどから、弾氏の将来的な社長就任は「既定路線」と見る向きが強い。

創業家社長候補らしい課題が課せられている。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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