【産業天気図・家電/AV】2極化の中、勝ち組は薄型テレビ好調持続、負け組も一服だが年末へ競争激化

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家電・AV業界は2005年度に急激な価格下落による「勝ち組」「負け組」の2極化が鮮明になった。ただ06年度上期は、勝ち組メーカーは主力となる薄型テレビの好調による「晴れ」が続く一方、「負け組」とされたメーカーもリストラが奏功して一定の回復は見られそう。とはいえ年末商戦に向けて価格競争はさらに激化しそうで、下期は再びメーカー業績に格差がつくシナリオも予想される。
 勝ち組となった松下電器産業<6752.東証>はプラズマテレビ、シャープ<6753.東証>は液晶テレビの業績牽引が続く。ブラウン管から薄型テレビへの移行が加速しており、サッカー・ワールドカップの開催なども後押しする。松下は昨年末に石油温風器事故が発生したものの、影響は小さく、圧倒的なシェアを持つ白モノ家電も相変わらずの強さを発揮することは間違いない。これまで負け組視されてきたソニー<6758.東証>も液晶テレビ「ブラビア」が販売量を伸ばしており、特に北米ではシャープを大画面サイズで抜く勢い。三洋電機<6764.東証>は人員削減や大規模増資、不採算事業の減損処理など多くのリストラを進めてきたことから、得意の電池やモバイル機器などで収益が回復しそうだ。
 反面、日本ビクター<6792.東証>やパイオニア<6773.東証>などは、赤字幅こそ圧縮されても、黒字回復は難しそうだ。松下やシャープなど勝ち組が主導しての価格競争も一層激しくなることから、劣勢を強いられているメーカーは道半ばの業績回復が頓挫する恐れも否定できない。
【鶴見昌憲記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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