相手にワンランク上の要求をする際の依頼のコツ 「相手の気持ちを巧みに利用する」頼み方がある

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また、自分に気にかかることがあると、関連する事柄がよく目に留まります。次に買いたいと思うクルマがあると、街中で、そのクルマばかりがやたらと目につきます。

あるいは、太ったことを気にする人は、「脂肪」「痩身」「糖類ゼロ」「〇△ダイエット」などの言葉が飛び込んできやすいでしょう。ゆえに、広告には商品名より、そんなキーワードばかりを使いがちなのです。

男性が目に入る婚活中の女性
(イラスト図版:山崎平太/ヘイタデザイン)

特定の色が目につく現象に由来

このように無意識に「選択的知覚」がはたらくケースを「カラーバス効果」と呼びます。「色を浴びる」という意味で、特定の色が目につく現象が由来なのです。

なお、「選択的知覚」のうちでは、喧噪のなかでも、自分の興味のある事柄や自分に関連する言葉が聞き取れてしまう「カクテルパーティー効果」という現象もよく知られます。「○○ さんはケチだよな」などと小声で陰口をたたいたつもりが、意外にも本人の耳に届いていたりするケースもあるので、気をつけないといけません。

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何かを禁止する――というのも心理的リアクタンスが生じるため、認知にストレスがかかります。ゆえに禁止されたことをかえってやりたくなります。

「〇〇さんは遊び人だから、誘われてもデートしちゃ駄目よ」などと吹き込まれると、かえって興味津々になって、誘いに乗ってみたくなるでしょう。

このように、何かを禁止するのが「カリギュラ効果」です。

かつてローマの暴君を描いた映画「カリギュラ」が、その内容が残酷すぎるとしてアメリカボストン市などで上映禁止となり、多数の市民が、隣の市まで観に行ったことに由来する認知バイアスなのです。

まとめ 中断、禁止は興味をそそる。

神岡 真司 ビジネス心理研究家 日本心理パワー研究所主宰

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かみおか しんじ / Kamioka Shinji

最新の心理学理論をベースにしたコミュニケーションスキル向上指導に定評がある。法人対象のコミュニケーショントレーニング、人事開発コンサルティング、セミナー開催などで活躍中。著書に、『最強の心理学』(すばる舎)、『思い通りに人をあやつる心理テクニック101』(フォレスト出版)、『嫌いなヤツを消す心理術』『口下手・弱気・内向型のあなたのための弱みが強みに変わる逆転の心理学』(以上、清流出版)、監修書に35万部のベストセラーとなった『ヤバい心理学』や、『もっとヤバい心理学』(日本文芸社)がある。

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